レクサスに採用、型内塗装の成長性
日ペ・オートモーティブコーティングス
昨年3月、日本ペイント・オートモーティブコーティングス(NPAC)は、自動車外装樹脂部品メーカーである内浜化成と共同で、自動車向け大型外装部品の型内塗装(インモールドコーティング)技術を開発したと発表。同技術はトヨタの「レクサスLM」のピラー部品に採用され、生産がスタートしている。今後も需要拡大が想定される中、更なる広がりを目指している。
型内塗装は基材と塗装をセットで行う一体成型が可能な技術で、①1コートフィニッシュのため塗装工程が短縮②ブース及び乾燥炉が不要③金型内で塗装・硬化が簡潔するため焼付時のVOC排出がゼロ④金型面を転写するため金型によって意匠のコントロールが可能といった特長がある。
社会的にカーボンニュートラルをはじめ環境配慮の機運が高まる中、VOCやCO2が削減できる塗装技術とあって、特に自動車分野では従来のスプレー塗装からの代替技術として関心が高まっている。
その工程は、基材成型金型でプラスチック基材を成型→成型した基材を金型へ移動→塗装用金型の中に塗料を注入して塗装→脱型して完成となる。
この樹脂成型の技術と金型設計などプロセスの領域が部品メーカーである内浜化成で、塗料の配合面を担うのがNPACとなり、「双方から最適化しないと実現しない工法」(NPAC)。
求められる塗料設計とは
塗料系は主剤のポリオールと硬化剤のイソシアネートが反応するウレタン塗料。100℃前後で金型を温めてその熱で硬化させる。1分で固めなければいけないため、通常のウレタン塗料とは全く異なる設計となる。
特性について、「無溶剤系であるため、溶媒がないので粘度が高くなることから主剤の粘度設計が重要。パイプを通して注入するため、塗料を温めて粘度を下げて流動性を保つ」設計。
更に「金型の中に入って硬化時間が短いので、ここのコントロールも重要。触媒によって1分で硬化させる技術を持たせる。それも塗料が注入され完全に充填されるまでに硬化してしまうと不具合が生じるので、広がるまでは固まらないことが重要。逆に塗料が充填された後になかなか固まらないとサイクルタイムが落ちてしまう」として、充填された後は速やかに硬化される技術を確立している。
そのため、硬化触媒といった塗料設計だけでなく、金型温度やプレス圧力の最適化が必要となり、双方からプロセスを成立させるために最適化が必要となる。
これまで自動車外装部品で採用されているスプレー塗装は、耐候性、耐水性、耐傷付き性などの物性が満たされている。当然ながら、型内塗装にも同様のスペックが求められるため、今後用途を広げるには塗料設計において完成度を高める必要があるとの見方だ。
まずはピアノブラックから
現状はピアノブラックをはじめブラックカラーを中心に開発しているが、型内塗装では非常に先鋭性が高いピアノブラックが可能となる。型内の磨き度を高くすれば鏡面に近いような高平滑性(ウェーブスキャン値5以下)が得られる。再現性も高い。
一方、マット調にするとき、通常は塗料に艶消し剤を配合して表面を荒らして光の乱反射で艶を消す。それが、型内塗装では金型を加工することで再現性の高い艶消しが可能。スプレー塗装のように、塗装環境によって変わることもなく、ラボと同様の意匠が再現できるのもメリットだ。
まずはピアノブラックから始めている。ボディとの厳密な調色が求められない部品で、ニーズの高いカラーのためだ。ただ今後について、ユーザーの要望もあり多色化を検討、一部ではカラー開発を行い、カラーサンプルを提案している案件もあるという。ただ、無溶剤を基本とするため分散できない塗色も出てくる。同社では「将来的に多色はできるだろう。ただすべてのボディカラーを型内塗装でカバーするのは難しく、できるモノとできないモノの見極めと開発が必要」との見方だ。
今後の採用の広がりを考える上で適用基材やサイズに課題が残るが、塗料側だけで解決できることではない。同社としては、「より大型の部品にも適用を進める中で、今は見えていない課題も出てくるのではないか。先行して開発しながら克服していく」考えだ。
現状、型内塗装に関して、1つの製品としては完成しているが、技術としては次世代技術の開発を継続している。脱型性の向上であったり、硬化させるための金型の温度低減であったり。自動車樹脂部品のすべてに対応するのではなく、需要に応じたスペック対応として開発を続けていく方針だ。

