成田から直行便で12時間。ドイツの西の玄関口、デュッセルドルフ空港に到着。翌日のオスモ社(塗料部門)の視察に備えて近郊のミュンスターという街に移動する。

旧市街の大聖堂を中心に広がった、中世の趣が残る街・ミュンスター。第2次世界大戦で街の半分以上が破壊されたものの、市民の寄付などで早期に元の街並みに修復・復元された。近代建築ではなく古い街並みを選んでいるところに歴史や伝統、文化、景観への市民の思い入れが伝わる。

ルネサンス様式の建物のファサードと古い石畳。その上を人が行き交い自転車が駆け抜けていく日常の光景。おとぎの国のような街で普通の人が普通に生活していることに羨望を感じる。

旧市街を抜けると3~4階建ての棟続きの建物が連なる。1階は店舗、上の階はアパートといった形態が多いらしい。

アパート群の外壁は塗装仕上げ。手前から薄紫、ブルーグレー、ベージュ、レモンとそれぞれ色相は異なるが、不思議と調和がとれているのは色のトーンが合っているからと独断。

加えて窓のモールディングも調和に一役買っている。ドイツのこのような建物ではほとんどモールディングで窓を装飾。花や植栽、マスコットなども飾り、外観を「魅せる」習慣を感じさせる。「魅せる」ことは当然、塗料や塗装の役割、位置づけにも連動する。