粉塵軽減剤で循環式ブラスト工法を強化

ヤマダインフラテクノス(本社・愛知県東海市、代表取締役・山田博文氏)は鋼構造物塗装のブラスト処理に適した水系ブラスト粉塵軽減剤「エコクリーンバイオ」の展開をスタートさせた。研削材を循環して再利用するブラスト工法「循環式エコクリーンブラスト」と併用することで一層の粉塵軽減効果が期待できるとして需要創造を図る。同品は国土交通省新技術情報提供システム(NETIS)に登録済み。


エコクリーンバイオを塗布することで塗り重ねられた積層塗膜の深部まで有効成分が浸透し軟化膨潤になる。軟化膨潤状態となった塗膜は手工具により剥離除去することができる。

その後、素地調整としてブラスト処理を行うが、塗膜除去後の作業のため粉塵を大幅に軽減できる。同社は「循環式エコクリーンブラスト工法を採用すればより粉塵軽減効果が得られる」として併用での使用を想定する。

残存塗膜厚への塗布量(目安)は塗り替え履歴ありの場合は0.6kg/㎡/回、塗替え履歴なしの場合は0.3kg/㎡/回となっている。標準施工条件は気温5℃以上・湿度85%以下、対応可能塗膜厚は500μm/回、軟化膨潤時間(目安)はフタル酸仕様・塩化ゴム系仕様は18時間以上で、ポリウレタン仕様・ふっ素仕様・タールエポキシ仕様は24時間以上となっている。

鉛含有塗膜への対応強化

今回、橋梁を中心に鋼構造物の塗り替え工事をメインに事業展開する同社がエコクリーンバイオの展開を始めた背景にあるのが、鉛を含有する塗料の剥離への対応だ。

2014年5月に厚生労働省からの通達「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」の中では湿式による作業の実施と明記されている。

ただしブラスト工法が使用できないわけではない。鉛中毒予防規則の中では「当該鉛業務は著しく困難な場合を除き、湿式によること」となっており「著しく困難な場合とはサンドブラスト工法を用いる場合」(安衛法便覧・解釈例規)と解釈されているためブラスト工法の施工も可能。実際、同社は「通達」以降も発注機関などに説明をし、適切な安全設備を導入して循環式ブラスト工法の実績を数多く重ねている。

それでも国や自治体によっては湿式工法の要望が強い場合があり、同社としても独自の湿式工法を持つことで対応強化を図った。そのため、エコクリーンバイオは循環式エコクリーンブラスト工法の展開を広げるためという意味合いが強いと言える。同工法は「循環式エコクリーンブラスト研究会」及び「日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会」により施工されており、このほど、NETISの平成29年度活用促進技術に指定されるなど関心が高まっている。

研削材を循環して再利用するため山田社長は「全体から見れば普及率はまだまだだが廃棄物を削減できる工法として循環式エコクリーンブラストを普及させたい」として事業強化を図っていく。



多層塗膜に浸透し軟化膨潤する
多層塗膜に浸透し軟化膨潤する
手工具による塗膜はく離作業
手工具による塗膜はく離作業

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