剥がせるフィルム塗料開発
綺麗な状態を保つ「BELAY」

和信化学工業は、塗って剥がせる保護用フィルム塗料「BELAY(ビレイ)」を開発し、11月下旬東京ビッグサイトで開催された「インテリアライフスタイルリビング2017」で初披露した。白地のボトルに黒字で「BELAY」の文字の入ったパッケージは塗料であることが想像できないデザインで、既成概念を打破した戦略に賭ける同社の挑戦がうかがえる。


主力の木工塗料にこだわらない市場開発へ同社が専門チームを設立し、市場調査活動をスタートしたのは数年前。非木工塗料事業としては、化粧品容器などに実績を持つスタンピング箔があるが、生活者ユースの商品開発に活路を見出そうとしたところに新たな試みがある。そして数年に及ぶ市場調査を経て見出したのが、20年以上前からプラント施設の養生材として供給している塗って剥がせるストリッパブルペイント技術の応用。保護用フィルムペイントとして商品化を実現した。

"美麗"をアルファベットでネーミングした「BELAY」は、塗装乾燥後の塗膜を剥がすことができるクリヤータイプの水系ペイントで、素材のデザインや色調を損なうことなく厚さ数十μmの透明フィルムを付与できるのが最大の特長。立面、水平面、立体物など、付着可能なさまざまな素材に塗布し、汚れから守ることができる。艶あり、艶消し双方を揃えた。

使用方法は、ローラー刷毛で厚く塗るように塗装し、乾燥時間(25℃)は約2時間(使用頻度の高い箇所は24時間)。容量は1kgで塗布面積は1回塗りで6~8㎡、2回塗りで4~6㎡。

開発のポイントとなったのが各種素材への適応。ガラス面では早々に良好な結果が得られたものの「さまざまな素材に安定的に剥がれやすいように設計するのが難しかった」(担当者)と試行錯誤を繰り返した。

完成には2年あまりの歳月を要したが、その結果、ガラス、木工塗装品、金属、天然大理石、ポリエチレンへの適応を実現した。一方、適応しないのは、木材やラッカー塗装品、人造大理石、皮、ゴム、ABS、布、紙、アクリル、ポリカーボネートなど。「剥離性を考慮すると凹凸や吸い込みがある素材は基本的に適応しない」と説明。一般的に平滑性のある素材に適するという。

なお、塗装後、長期間放置すると素材との密着が強まり剥がれにくくなるため3カ月程度を目安に再塗装を推奨する。

機能から用途を探る

しかし、塗料が完成したとはいえ、幅広い素材に適応する塗って剥がせる塗料というだけでは用途が曖昧になり、市場に対するインパクトは弱い。同社は同品と並行して開発した着色タイプも含め、住宅関連の展示会に出展するなど、用途を鮮明にするためのフィールドワークを重ねた。

そこで今回、公の場で披露したのがクリヤータイプの商品。"剥がせるフィルム"であることを全面的に訴求し、「大切な物をいつも綺麗に保存したい」と使う側に分かりやすいストーリーを組み立てて提示した。

誰でも使える手軽さからさまざまな業種や用途での拡大が期待されるが、販売方法は当面同社のWebサイトに限定し、価格も1万5,000円(税別)と価格の保持を徹底する方針だ。

その中で同社が需要先にと期待するのが、高級ホテルのスイートルームで使われている家具や調度品などの保護。「テーブルやカウンタートップに使われる大理石は、汚れや傷により剥離を行っているが、大理石の剥離にも限界がある」との現状を把握し、既に都内数カ所のホテルに提案し、採用に向け良好な感触が得られているという。

また着色タイプにおいてもガラス向けに10色をラインアップ。30mlと少量ながら、機能とデザインの領域で塗料と生活者の新たな関わりを探ろうとしている。



塗って剥がせる「BELAY(ビレイ)」
塗って剥がせる「BELAY(ビレイ)」
パッケージは塗料であることが想像できないデザイン
パッケージは塗料であることが想像できないデザイン
「インテリアライフスタイルリビング2017」に出展
「インテリアライフスタイルリビング2017」に出展

HOMEインテリア / DIY剥がせるフィルム塗料開発

ページの先頭へもどる