毎年3月に行われるJAPAN SHOPが6~9日、東京ビッグサイトで開催された。商空間のデザインがその後住宅建築にも降りていく傾向が近年強まっており、そういった意味でも店舗総合見本市のJAPAN SHOPは要チェック。ペイントに関する情報を拾ってみた。

壁紙大手・リリカラーのブースで目を引いたのが"ペイント風"のビニール壁紙「Morris Heritage Colours」。イギリスの著名なデザイナー・ウィリアムモリスが使っていた伝統的なペイントカラーをビニールクロスで表現したもので、色調やマットな感じなど塗装壁のテイストを忠実に再現。「近年、店舗のインテリアではペイント壁が好まれる傾向にあり、ビニールクロスで再現しラインアップしたもの」(担当者)と説明。店舗内装のペイント支持がいずれ住宅内装に派生しそうな予感。

その住宅内装に向けて新たな角度でペイント仕上げを普及させようとしているのが輸入建材商社のナガイだ。同社が出展していた「エコフリース」は塗装下地壁紙「ルナファーザー」にペイントをプレコートした新たな壁紙。自然素材や透湿性などの環境性能とともに、光の優しい反射や揺らぎ感、優しい風合いなど上質なインテリアを演出する『ルナファーザー+塗装』ならではの魅力を訴求。「塗装にはビニールクロスが及ばない良さがあり、そこに気づく人たちが増えてきている。プレコートのため現場では塗装レスなので価格も比較的リーズナブル。店舗関係だけでなく住宅建築からも強い引き合いがある」(担当者)と内装シーンにおけるペイントの可能性を示唆。

一方、塗り壁材「ジョリパット」の新たな意匠を毎年発表し、来場者の注目を集めているアイカ工業。今年は高級意匠性塗材の新製品「クライマテリア」を出展した。「マイスター(職人の技)とマテリアルが競演し、丁寧な手仕事によって生まれる存在感を示していきたい」と担当者。繊細な色の組み合わせが創り出す、美しく自然な風合いを表現するパターン「モルタルアート」(16色)や、伝統的なイタリアンスタッコを現代風にアレンジした磨き壁「イタリアート」(4シリーズ)を展示。塗り壁ならではのデザイン性を訴求していた。

ビニールクロスなど乾式建材に比べて上質な色や質感、自在な表現力を持つペイント。店舗デザインでの高い支持を背景に、住宅内装シーンも照準に入ってきた。