今回の視察ツアーの目的の1つであるオスモ社を視察した。
日本では自然塗料「オスモカラー」として名の通っているオスモ社は1878年に創業したドイツの大手木製品メーカー。フローリングや内装材、ドア材など自社製品に最適な塗料を追求する中で塗料の開発にも着手。1955年、"木工の専門家"の立場で世に出したのが「オスモカラー」だ。
現在は売上のうち塗料が50%、ガーデン製品を含めた木製品が50%の割合。塗料を中心に輸出も活発で、最大の輸出国は25年前から取引を始めた日本(オスモ&エーデル社)。同品の輸入販売をきっかけに国内でも"自然塗料ブーム"が巻き起こり、塗料の新たな市場形成に大きく寄与した。
〈塗料部門〉
最初に訪れたのはミュンスターにある塗料部門の開発・製造拠点。R&D、品質管理、製造の各現場を同社のHolger Engelking博士に案内してもらった。
同社の最大の特徴はひまわり油や大豆油など生油から最終の塗料化まで一貫して自社製造している点。既製の塗料ベース樹脂を使わず生油の精製、加熱、ブレンドといった手間をかけてまで自家製にこだわるのは「木に最適な塗料をつくる」ため。開発、製造、品質管理の流れはすべてこの一点に集中しており、「木にはオスモカラー」といった自信の根幹となっていることを感じた。
〈建材部門〉
ミュンスターから車で30分ほどのヴァーレンドルフにあるオスモ社の本社工場を視察。ここではフローリング、羽目板、枠などの無垢製品を主に製造。切削から加工、塗装までの一貫生産を行っている。
オスモ社は2002年にドイツ最大手の木製品メーカー・Cordes(コルデス)グループの傘下に入っており、本社の視察ではグループの総統・Christian Cordes氏が直接案内してくれた。
この工場では自然塗料のライン塗装工程、中でも乾燥に時間のかかる自然塗料をUV照射で即硬化させるシステムを見学できたことは貴重な経験であった。
敷地や建屋の広さ、木工機械の巨大さなどスケールは圧倒的。加えて目に付いたのは工場や倉庫の大きな屋根を支えている大断面集成材で、柱のない広い作業スペースを確保するのに役立てている。日本ではまだそれほど普及していない大断面集成材が民間企業で普通に使われていることに、木材利用に対する国の姿勢の違いを感じた。
HOMENew Trend海外視察レポートドイツの塗料・塗装文化を感じるオスモ本社を訪ねる