おもちゃ箱をひっくり返したような世界が広がる。キッチュでいて、どこかクリエイティブな感じの不思議なショップ。那覇市牧志にある「大工の手--Shake Hand」はペイントカラーを基本とした創作工房だ。商品はシャビーなカラーリングをした板材1枚3,000円など。また古い米国の雑誌の切り抜きを板材に張りクリヤー仕上げ。インテリアアイテムとして観光客にも人気。とにかく常識や既成概念に捉われない遊び心を大切にした雑貨がショップにあふれている。
「Shake Hand」を運営するコミットの取締役・迎里(むかえざと)清雅氏は「塗装は表現力が無限にあって、とてもクリエイティブな商材だと思う。フラットにただ塗るだけでは面白くない。アッシュ系で仕上げてみたり、いろいろな工夫を加えて、ペイントの世界を広げたい」と語る。迎里氏はペインターだったわけではない。デザイン関連の仕事の延長からペイントの世界に入ってきた人だ。それだけにペイントの常識は迎里氏にとっては非常識となる。こんなエピソードを語る。
「工務店からあるホテルの内装のペイント仕事を依頼されたのですが、私たちの持っている技法(テクニック)を使った仕上げなのに、その技量に対する評価はゼロ。平米単価だけでやれという形で、それ以来コンストラクターの仕事は一切断っています」。
とにかくこだわった塗装仕上げに情熱を込める。ついにはオリジナルペイントを開発。取引先の塗料ディーラーに依頼し、24色のカラーパレットがある「Shake Handオリジナルペンキ」を完成。100ccの可愛らしいポット入りで、女性客に人気があるという。
迎里氏はデザイナー出身だけあって、ペイントがデザインマインドを刺激するようだ。ペイントをツールの基点とした商品づくり、木工教室の開催、ガーデニングサポートと関心は広がるばかり。
省資源といった堅苦しい発想ではなく、遊び心で木片や廃材をペイントすることで商品化。木片(数cm角程度)にカラーリングしただけで、木片タイルができあがり、客がそれを買って壁やテーブルに張り付けて楽しむといった具合。廃材をペイントで再生するアイデアがショップにみちみちている。
ペイントで息を吹き込まれた製品のひとつに、ガーデニング用品がある。木箱にロゴを入れシャビーな仕上げで存在感あるプラントボックスにする。更にクライアントからの依頼でガーデニングをトータルに設計するケースも多い。「お客は私たちにオリジナル性を求めているのだと思う。大量生産の安価な商品があふれていますが、どこかよそよそしい。もっとハンドメイドの味があり、自分テイストを感じさせるものへのニーズが強まっています」。
ショップとは別に、木工製品の秘密基地「GARDEN COMMIT」が那覇新都心にある。この基地は工房となっており、木材から組み立て、仕上げのオリジナル製品をオーダーメイドで手造りしている。ここでガーデニングに必要なカスタムガーデン・木工製品がつくられている。
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