バートメルゲントハイムの住宅外装事情

戸建住宅の外装仕上げの様子を視察した。木造軸組みの構造にモルタル+塗装仕上げの仕様が多く、それぞれの住宅が色で個性を主張しながら地域の景観にも気を遣っている。住宅と色(=塗料)とがとても近い関係であることが分かる。


バートメルゲントハイムという地方の町で時間ができたので近隣の住宅を見て回った。大きな街と異なってアパートや集合住宅は少なく、戸建住宅が軒を並べている。

ドイツの住宅の外装は石造りやレンガ造りのイメージが強かったが、戸建住宅はほぼモルタルに塗装仕上げであった。ブロック状の石を積んで躯体を造り、外断熱を施している家も多い。

材料は細かい骨材を含んだジョリパットのような仕上材が主流のよう。吹付けもしくはコテで軽く押さえたような風合い。大仰なパターン付けはなく、落ち着いた雰囲気の仕上げが多い。

途中、ペインターが塗り替えをしている現場に遭遇したので思わず写真をパチリ。9インチほどのローラーを軽々と動かしておりパワフルだ。

戸建住宅の外装仕上げで印象が強かったのは、やはり色使いの妙味だ。グレーをベースに臙脂のアクセントカラーの組み合わせ、トーンを抑えた赤をベースに開口部まわりを白で縁取ったデザイン、上下階をイエローのグラデーションで塗り分けた家など、どの家も色にこだわっている様子がよく分かる。居住者と塗料との関係性が近い、日本にはないうらやましい世界が広がっていた。

それともう1つ。どの家も色相はバラバラの色で塗られているが、色の氾濫は全く感じることがない。色相は異なっていても彩度と明度、いわゆる色のトーンが合っていることが理由かもしれない。それを住民同士で確認し合っているのではないかという、コミュニティーの豊かさまでも感じる外装色の調和であった。

ユニークだったのは電線。日本のように電柱から各戸に電線をのばす方式ではなく、各家の屋根の上にミニ電柱が建てられ、それぞれの家を電線でつなげている。そのため電柱に電線が密集したうるささはない。都市部では電線を地中に埋め、田舎町でさえミニ電柱で電線の存在感を消す。景観への強いこだわりに文化の違いをひしひしと感じた。



バートメルゲントハイムの町
バートメルゲントハイムの町
外断熱の改修現場
外断熱の改修現場
塗り替え中のペインター
塗り替え中のペインター
色にこだわった家
色にこだわった家
色にこだわった家
色にこだわった家
20151216-8-7.JPG
20151216-8-7.JPG

HOMENew Trend海外視察レポートドイツの塗料・塗装文化を感じるバートメルゲントハイムの住宅外装事情

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