需要盛り上がり、人づくりに注力

カラーワークス(社長・秋山秀樹氏)はカラービジネスの底上げのためマンパワー事業を加速させる。「インテリアペイントへの社会的な関心が高まっており、これを更に強力に支える人材の育成が急務」(秋山社長)と判断しているためだ。特にコンサルティング(ソフト)できる人材とともに施工(ハード)人材の面での対応力が求められている。


カラーワークスは昨年4月に洋風建築住宅会社のカントリーベース(本社・石川県金沢市、社長・山田修司氏)とタイアップして「C&Cフィニッシングアカデミー」を立ち上げた。特殊モルタル造形とペイント(フィニッシュ)を組み合わせたデザインコンクリートの技法をマスターするスクールだ。

デザインコンクリートは、モルタルで石材やレンガ調を造形し、塗装のテクニックで古びた意匠を付与するなどして、立体的なデザインを創り出す世界。商業ベースでは以前から導入されていた技法だが、建築業界から一般生活者にまで関心が広がり、幅広い需要がある。その一方で、技法をマスターしている職人が少なく、需給ギャップが生じていた。

カントリーベースは輸入建材を使った欧米風の住宅を設計・販売し、全国的に人気を集める。住宅内外は壁紙を使わずオールペイント仕様にこだわり、デザインコンクリートをアクセントで加えるスタイルを確立。カラーワークスはインテリアペイントで独自の世界観でブランド力を発揮する中で、造形的要素を新たに加える必要があり、両社の思惑が一致。

C&Cフィニッシングアカデミーは4月の開講以来、定員を上回る応募があり、現在3カ月先まで予約が埋まるほどの人気ぶり。応募者の約6割が塗装職人で、ペインターの参加が目立つ。「フラットに仕上げる塗装の世界から、もっと造形性があり、想像力を生かせる技法をマスターして仕事の幅を広げたい」と受講理由を語る。

受講期間は5日間。だがその内容はとても充実している。合板下地が用意され、その上にブラックペーパーとラス張り・下地用の速乾モルタル(ラピッドセット)で下地を造る。これにカンテラと呼ばれる特殊モルタルで造形する。カンテラは最大10cmの厚さが付き、木や石、岩肌、レンガ、ブロックなど任意のデザイン表現が可能。

またカービング(彫刻)やスタンプ転写などにより、例えば古くなってモルタルが剥落しレンガの一部が露出した壁の造形ができる。これにペイントでシャビーな感じの仕上げを施す。デザインは自由度が高く、クライアントの求めるイメージを立体感あふれる造形に仕上げられるのが魅力。デコラティブハウスといったコンセプトの住宅が注目され、その背景には工業的、画一的な住宅スタイルの陳腐化がある。

講習費用は35万円/人と決して安くはない。一月に1回のサイクルで、これまでに100人超が受講。応募者は塗装職人や他の仕上業種や工務店関係から、新しい技法をマスターして独立したい素人まで多彩だ。将来性のある職業として関心を引き付けているようだ。ちなみに塗装職人の場合口コミで応募するパターンが一番多いという。

ホームデコを資格化

ホームデコレーター資格の制度化はある意味でカラーワークスが展開してきたカラービジネスの集大成。色彩を基点に住空間を編集するには、従来からあるインテリアコーディネーター資格やカラーコーディネーター資格では十分対応できない。

インテリアコーディネーターは色彩を表現するペイントノウハウが欠如し、内装=壁紙の世界から脱け出ることができない。一方のカラーコーディネーターは、色彩知識はあるものの、それを具体化する手段を持たない。ホームデコレーターはこうしたギャップを埋める能力を開発するのが狙い。

実は既に秋山千恵美さんを中心に数年前からホームデコレーターの人づくりに着手。国内ばかりでなく、韓国、台湾など海外での人材育成の実績がある。「色を楽しむ生活をベースに住空間を創造できる人づくりをしたい。社会的にも強い要請があると実感しています」(秋山千恵美さん)。

このため公的な資格としてホームデコレーターを確立させたい考えだ。関連省庁の承認などの手続きを経て、年内には制度化を具体化する。

ドリームチームはインテリアペインターの育成と同時に、カラーワークスの扱う商材(F&B、HIP、S-Wなど)を取り扱う事業者を組織化し、カラービジネスの底上げを図る狙いがある。昨年の募集説明会には全国から多彩な業種が参加したが、塗料業界(塗料店、塗装業者)の参加は少なく、インテリア業界、リフォーム業者、工務店などからの参加が大半を占めた。

ドリームチームは現在、20社が加盟しているが、100社程度に拡充する計画。「インテリアペイントの需要の高まりがある一方で、受け皿となる業態が未整備。このギャップを埋める必要があります。カラーワークスのビジネスパートナーとなっていただける企業の参加を望みます。特に塗料業界関係者の参加は産業の活性化につながります。ぜひ応募してほしい」(秋山社長)と呼びかける。

カラーワークスの人材育成



カラーワークスの人材育成
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