日本塗料工業会は、2024年(令和6年)暦年の海外生産統計をまとめた。その結果、日本の塗料メーカーの海外生産量は、対前年比6.9%増の910万5,809トンと2年連続の伸長となり過去最高を更新した。日塗工は「2024年の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻や中東・パレスチナでの紛争など情勢不安は依然として収束せず、エネルギー価格の高騰も影響したが、米国を中心とした堅調な成長が見られた」と分析。回答企業は前年比4社増の83社、うち海外進出ありと回答した企業は2社減の30社となった。

地域別は、米国1.6%増の8万6,081トン、欧州17.4%減の39万9,461トン、アジア8.4%増の832万6,659トン、アフリカ・オセアニア・中南米他9.6%増の29万3,608トン。海外生産量に占める各地域の比率は、米国0.9%(前年比0.1ポイント減)、欧州4.4%(1.3ポイント増)、アジア91.4%(1.2ポイント増)、アフリカ・オセアニア・中南米他3.2%(0.1ポイント増)となり、コロナ禍の影響で2022年に88.5%まで低下したアジア比率は2023年以降再び上昇傾向を続けている。

またアジアの中で著しい成長を見せているのが、インドやその他アジアと中国以外の国。アジアの内、中国の生産量は、3.5%減の484万7,234トンに対し、インドは18.8%増の89万916トン、その他アジアは35.7%増の258万8,509トンといずれも過去最高を更新した。地政学リスクやEVに代表される現地競争の激化により、日系企業において中国からインド、ベトナムへのシフトを顕著にしている。

これにより2024年暦年の国内生産量142万6,379トン(前年比3.0%減)と合わせた国内外総生産量は1,053万2,198トン(5.4%増)となり、調査開始以降初めて1,000万トンを突破した。進出国数は前年比1カ国増の55カ国。現地企業数は5社減の366社。

また8月21日開催の「塗料塗装・最新動向セミナー」で日塗工専務理事の児島與志夫氏が世界の塗料需要動向について解説。調査会社Orr&Bossの資料を引用し、2024年の塗料出荷数量は482億9,000万L、出荷金額は1,950億7,000万ドルと示した。

地域別シェア(数量)は、北アメリカ10.7%、ヨーロッパ15.7%、中東3.7%、アフリカ3.2%、アジア57.4%、ラテンアメリカ9.3%。

児島氏は、出荷数量でアジアが57%を超えた現状に「金額ベースでは45%しかなく、北米・欧州に比べ塗料単価が低く抑えられている傾向に変化は見られない」と話す一方、今後もアジア市場が牽引するとの見方を示した。