金属焼付塗装をメインとする村上塗装工業所(本社工場:埼玉県川越市、代表取締役:廣瀬こず江氏)は、継続的な成長を目指す上で付加価値戦略を推し進めていく方針だ。
このほど、新たに木工塗装事業を本格的にスタートさせた。金属塗装に加えて木工塗装を新たな柱に成長させたい考え。更には高級仕上げ塗装についても対外的にPRしていき、付加価値塗装として受注増を目指している。
村上塗装工業所は川越市の本社工場に加えて、埼玉県内に第2工場、第3工場を有して、金属焼付塗装をメインに事業を展開している。
本社工場では2つのコンベアーラインによる小物品・量産品の塗装、第2工場では塗装ブース2基で9メートルまでの長物品や大型品の塗装、第3工場では2つのコンベアーラインでマルチな品物を塗装している。3つの工場がそれぞれ特徴的な塗装設備となっており、幅広いワークに対応できるのが同社の強みとなっている。
更に特徴的なのが、グループ会社の存在。本社工場の隣には村上パーカーライジングがあり、パーカー処理だけでなく、重防触塗装の下処理(メタリコン)を行っている。前処理から塗装までの一貫受注を可能としている。加えて、塗料販売業のレインボーペイントをグループ傘下において、村上塗装グループとして幅広く事業を展開する。
そんな中でこのほど新たに木工塗装事業を本格的にスタートさせた。これまで木工塗装の実績はあるが、そのときは木工塗装のノウハウがない中で、外部からアドバイスを受けながら試行錯誤での取り組みであった。しかし、あくまでも単発案件にとどまっていた。
そうしたときに木工塗装の実績と技術力を持つ人材が入社したことで、新規事業として立ち上げるに至った。
従来行っていた一般的な金属塗装に比べてゴミブツの基準の厳しい木工塗装のために専用の塗装ブースを設置し、磨き作業の場所も確保。木工塗装を本格的にできる環境を整えた。
木工塗装事業を主導する取締役専務の松浦裕貴氏は「仕上がり外観の基準も高くて従来の塗装よりも手間がかかる。着色だけでなく、木目を生かした仕上げも行っていくつもり。工程が増え手間がかかる分、高付加価値として訴求していきたい。そのための営業方法も考えていく」と述べ、10月には展示会に初めて出展する。塗装だけでなく営業戦略についても新たな道筋を志向していく。
同社では木工塗装だけでなく、鏡面仕上げのような高級塗装についても増やしていきたい考えだ。「取引先ではなくその先の一般に近い方が、鏡面仕上げを見たときに非常に驚いていたことがあった。我々が考える以上に価値を見出してくれることを実感し、新たな可能性を感じている」として高付加価値塗装の需要創造を図っていく。
先般、会社説明カタログを刷新した。そこには宇宙空間が描かれており「将来的にはロケットや人工衛星など宇宙産業に関わる塗装を行いたい」との思いが込められている。