大日本塗料は8月29日、AGCが保有するAGCコーテックの全株式を取得し、子会社化すると発表した。同日、AGCと株式譲渡契約を締結し、12月下旬頃の譲渡を予定している。
AGCコーテック(以下ACT)は、1963年に前身となる「ボンタイル株式会社」を設立。その後、1988年にAGC90%、大日本塗料10%を持ち分とする「旭硝子コートアンドレジン株式会社」に商号変更した。以降、ふっ素樹脂塗料専門塗料メーカーとして建築用、工業用、防食用、コーティング材分野に事業領域を広げる。現社名には2007年に変更した。
当時、大日本塗料がACTに出資する背景となったのは、AGC(当時旭硝子)がふっ素樹脂を開発したことに遡る。1982年、AGCは世界初となる塗料用溶剤可溶型ふっ素樹脂「ルミフロン」を開発。市場展開にあたり同じ三菱グループである大日本塗料との協業を本格化し、大日本塗料「Vフロン」、ACT「ボンフロン」の投入に至る。
その中で今回のAGCによるACT株の譲渡。AGCは「長年の取引実績及びACTの10%株主である大日本塗料に譲渡することがACTにとって最適であるとの結論に至った」と理由を説明。一方、大日本塗料も「ACTが有する技術をグループ内に取り込むことで、ふっ素樹脂塗料市場におけるプレゼンスの向上が期待される」と相乗効果を見出した形だ。
特に大日本塗料にとっては、連結売上高800億円、連結営業利益80億円を目標とする2026中期経営計画(2024~2026)の達成に建築塗料分野の成長を掲げており、ACTの株式取得で弾みをつける狙いだ。
本紙取材に対し、大日本塗料は「ACTには、住宅塗り替えにおいて製販装連携のネットワークや独自の保証サービスを展開するなど、当社にないノウハウを持っている」とコメント。防食分野においても通信鉄塔分野で顧客基盤を有しており、建築、防食分野の底上げが図れるとの期待がある。
株式譲渡は12月下旬を予定。譲渡後もACTの業務内容は変更ないとしている。