「第60回JAPAN DIY HOMECENTER SHOW2024」(主催・日本DIY・ホームセンター協会)が8月29日から31日までの3日間、幕張メッセで開催された。60回目の節目となる今展には前回の514社・1,120小間を上回る598社・1,266小間が出展。会期中、台風の影響が懸念されたが、来場者(累計)は6万225名と前年を超えた。塗料・塗装用品からは16社・62小間が出展した。
コロナ禍後も市況低迷が続くDIY用塗料市場。その中でメーカー各社は機能、用途を明確にすることで、生活者の困りごとや利便性向上を訴求する動きが目立った。一方、コンクリート調や漆喰調塗料の投入を活発化。意匠性塗料のトレンドが高まってきた。
■アサヒペン
アサヒペンは、テレビCMでも宣伝する「道路線引き用スプレーシリーズ」をはじめ「光反射スプレー」「ウェーブ化繊ハケ WAVYシリーズ」「水性人工木ウッドステイン」「水性ペイントマーカー カラーレ」、屋内外コンクリート調塗料「CONCRETE TONE」「シルバーペイント鉄部用スプレー」など多彩な新規商品を出展。用途や機能を明確にした商品展開を印象づけた。
「生活者が日頃困っていること、利便性に応える商品開発が重要になっている」と担当者。光が当たると塗膜が輝く「光反射スプレー」がその1つ。自転車の夜間走行など安全グッズとしての需要に期待する。
「水性人工木ウッドステイン」は1回塗り仕上げを差別化に据えた商品。着色タイプと合わせて、クリヤータイプも揃え、色あせ防止として新築時での採用を訴求する構えだ。
■カンペハピオ
カンペハピオは、昨年に続き天然植物油を使用した水性木部用ジェルステイン「BOTANICAL PAINT」を前面にアピール。今年5月からネット通販、店頭での販売を開始した。
女性ファンをターゲットにエコで廃棄がしやすい紙パックボトルやハンドクリームのようなパッケージが特徴的。色(全10色)も茶系色に加えて、レモン、ミント、ピーチなどのパステルカラーを揃え、インテリアにおける色使いの楽しさを訴求した。
この他、水性多用途つや消し塗料「MAT PAINT」を出展。モノトーン、パステル、アクセント、ナチュラルシック、ウッドモダンと5つのカラーカテゴリーからなる全38色をラインアップ。豊富な色数と幅広い用途性を持つ艶消し塗料として需要に期待する。
■ニッペホームプロダクツ
ニッペホームプロダクツは、今年5月に塗料を入れたまま保存できる塗装用具「ペイントバケットCOROCORO(コロコロ)」(特許申請中)を開発。7月には「COROCORO」を採用した水性室内壁用塗料「STYLE DIYペンキマットフィニッシュ室内壁用」、壁紙のように仕上がる「STYLE塗る壁紙」をそれぞれ発売し、同展の会場で披露した。
「COROCORO」はバイオマス素材を使用したプラスチック製の塗装用バケット。中にしごきネットが付属しており、塗料を注いですぐに塗装できるのが特長。更に専用の蓋が付いており、中に残った塗料の保存が可能。使用後は、洗浄して塗料バケットとして繰り返し使うことができる。
この容器に塗料を入れた商品して開発したのが「室内壁用」と「塗る壁紙」の2商品。容器の積み重ねも可能で、店頭ディスプレイの刷新に期待する。
「塗る壁紙」は、砂骨ローラーを使って壁紙のような凹凸仕上げが特徴。壁紙を張りづらい狭い場所や湾曲部に対し、壁紙調仕上げが得られる塗装の利便性を生かした新発想の商品。
■和信ペイント
和信ペイントは、例年同様、ワークショップスペースを前面に配置し、連日多くの来場者が塗装を楽しむ姿が見られた。アイテムの選択も含めて趣向を凝らした同社のワークショップは毎年人気のスポット。今回バイヤーズデーには、ホームセンター従業員を対象にした「カフェトレイ作り」、一般デーではコマやウッドキーホルダー、ヨーヨー作りを行った。
使用商品は、ワックス感覚で使えるペースト状ニス「ウッドアトリエ」と新商品の「Easy Varnish」。いずれも布やスポンジを使って着色できるのが特長で、塗装の簡便性や着色の楽しさを伝えた。
また最終日の31日には、定年退職を控える寺尾伸彦氏による"最後"の塗装実演を実施。軽快なトークを交えて「住まいのお悩み解決」をテーマに床のメンテナンスを分かりやすく説明した。
■ターナー色彩
DIY市場におけるヒット商品「ミルクペイント」が発売10周年を迎えたターナー色彩。
同品は、当時巻き起こっていた女性のDIYブームをけん引した立役者の1つで、「当社もミルクペイントを足掛かりにDIY市場で一定のポジションを築くことができ、アイアンペイントなど、その後に続く商品のヒットにつながりました。かつてのDIYブームのリバイバルの期待を込めミルクペイントを大きく打ち出しました」と小間展開。同品へのリスペクトとリバイバルヒットへの期待を込め、DIYブロガーの作品例などミルクペイントの魅力を伝えていた。
■アトムサポート
DIYショーの常連・アトムサポートが今回力を入れていたのは水性多用途塗料「フリーコート」の展示だ。鉄部、木部、コンクリート、ビニルクロスなど屋内外に使える多用途塗料の同品を来春リニューアル予定で、そのプレゼンを行った。
「これまでの312色から色彩研究家が厳選した144色に絞って色が選びやすくなったのと、3分つやから人気のつや消しに変更する」のがリニューアルの内容。また、QRコードからシーン別のカラーシミュレーションを検索できるなどデジタルサービスも充実、「フリーコート」の商品力を強化する。
■ハンディ・クラウン
毎年この展示会で近日発売予定の新製品を参考出品し、市場の反応をマーケティングしているハンディ・クラウン。今回の出品の中でも目を引いたのが、塗料の攪拌ツール「おたまぜ」だ。攪拌によく使われるオタマの先を水平に加工したスコップのような形状で、4kg丸缶の底を隈なく攪拌できるツール。オタマにスリットを施しているので塗料の流動性がよく、スムーズな攪拌が行える。
また、同じく参考出品した「伸縮スモールローラーハンドル」は、ハンドルのグリップが2段階に伸びるアイデア商品。あと少し届かない場所でも長柄に付け替えずに塗れるので高い箇所の塗装が捗る。「DIYだけでなくプロの職人さんにも受けると思う」と自信を見せていた。
■タイホウ
塗装用具メーカーのタイホウは、新製品のマイクロコテバケ「コテツ」を紹介した。
同品は、お掃除モップのように長方形のヘッドにパッドを装着して塗装できる便利ツール。パッドにはマイクロファイバー(毛丈4、13mm)を採用し、泡立ちのない美しい仕上がり感が得られる。ヘッドは、グリップタイプの150と長柄を装着する250を揃え、施工スピードの向上に寄与する。
適用塗料は、ステイン、水性クリヤー、水性ニスなど。泡噛みしやすい水性クリヤーにおいては、「同じ場所を返して塗ると泡が消える」とコツを説明。プロツールとしてホームセンタールートでの拡販を狙う構えだ。
■mt masking tape(カモ井加工紙)
多彩な色や柄やデザインを施し、女性の普段使いのファンシーグッズとしてマスキングテープを生まれ変わらせた「mt」。今回の出展では、大阪市の塗料販売店・タカラ塗料と共同開発した「ペインタブルテープ」を出展した。
同品は、室内の壁を塗装するときの下地用マスキングテープ。30cm幅の同品を貼り継いで壁を覆い、その上に塗装をするためのアイテムで、既存の壁を塗料で汚すことなく室内のペイントができるので賃貸住宅のインテリアにぴったり。和紙ベースなのでしっとりとした塗装壁に仕上がるのもポイントだ。マスキングテープから派生したインテリアグッズとしてアピールした。
■コスモコーティング
各地のホームセンターで徐々に導入が増えているのが、コスモコーティングの「革王」だ。無機質無溶剤のシリコンを使用した皮革専用のコーティング剤で、劣化した皮革を修復しツヤとしなやかさが蘇る。
着色ではなく、ワセリンとシリコンの力で革そのものの色が蘇るのでナチュラルな風合いに戻るのが特長。「バッグや靴、ソファー、車のシートなどお気に入りの革製品を自然な色ツヤに簡単に戻せるため、各地のホームセンターさんで導入が進んでいます」とし、ヒット商品への期待を高めていた。
■関西むさし
塗装用ローラー及びFRPローラーの製造販売を手掛ける関西むさしは今回が初の出展。
創業50年の実績が誇る技術力で、さまざまなニーズに応えたローラーづくりに定評がある。ホームセンターのオリジナル商品、PB商品づくりの提案や自社のローラーのラインアップを紹介。
中でも「クリスタルローラー」は、マイクロファイバーを特殊加工した塗装用ローラーで、いままでにない塗り心地、塗面の仕上がり、環境にやさしい低飛散型のローラー。同品を中心に自社の技術力をアピールしていた。












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