「塗装をアートの領域に」 銀座にギャラリーオープン

インテリアペイントのトレンドセッター・カラーワークス(本社・神奈川県大和市、社長・森一朗氏)の挑戦がまたひとつ始まった。デコラティブなペイントによる「塗装」を、「アート」の領域に高める挑戦だ。今年6月に東京・銀座にオープンしたショールーム「LAYERED GALLERY by VALPAINT」のコンセプトは、"Think like an Artist"。設計者やデザイナーに「塗装=アート」との概念を浸透させ、インテリアペイントの価値を高める。


カラーワークスが銀座にショールームを構えるのは今回が2カ所目。2022年春に英国のプレミアムペイント「FARROW&BALL(ファロー&ボール)」のブランドショップ「FARROW&BALL銀座サロン」をオープン。そして今年6月、イタリアの装飾的なペイント「VALPAINT(バルペイント)」のショールーム「LAYERED GALLERY by VALPAINT」を、やはり銀座に開設した。日本を代表する高級商業地に2つのショールームが立地。インテリアペイントの普及にかける決意が伝わる。

同社は昨年、カラーワークスが扱うペイントのセレクトショップとして機能していた東京・東神田のパレットビルを閉鎖。「FARROW&BALLに関しては既に開設していた銀座サロンでお客様対応ができていたのですが、VALPAINTに関しては『仕上りや表情を見てみたい』という声にお応えできていませんでした。そうした声が多く寄せられたことからも独自のショールームが必要との判断に至り、オープンすることになりました」(担当者)と説明。デコラティブな表情や多彩なテクスチャーといったVALPAINTの魅力を発信する拠点として機能させる。

VALPAINTはイタリアの高意匠性塗料のブランドで、日本には2017年に上陸。カラーワークスが国内総代理店として展開を始めた。

その特色は、突き抜けた意匠表現力にある。錆、モルタル、スタッコ、石材、鉄材から、泡立つ海面のようなリアリティのあるテクスチャーまで、塗装とは思えない完成度で壁に多彩な表情を生み出す。高意匠性塗料の本場イタリアでも高い支持を得ているペイントブランドだ。

そして本国のVALPAINT社では近年、「塗装をアートの領域に高めるプロジェクトが進行している」(同)という。多彩な表情を生み出すVALPAINTの材料的な特性と、それを扱う職人の感性やイマジネーション、テクニックとを融合して、塗装を単なる壁の装飾から芸術の域に押し上げる取り組み。

フランス語で"職人"のことを意味する「アルチザン(Artisan)」。そのスペルからも分かるように、匠の技を持つ職人をArtist(アーティスト)に重ねる価値観がヨーロッパでは根付いている。中世ヨーロッパのフレスコ画に起源を持つ装飾的な塗装及び塗装職人も然りで、塗装が持つアートとしてのポテンシャルを更に引き出し、付加価値の高い領域として定着させるのがVALPAINT社の近年の動きだ。

この方向性にカラーワークスも同調する。今年6月に開設したショールームはその最前線だ。「空間を彩る選び抜かれた素材、革新的な技術、そして壁に芸術を宿す職人の情熱。そのすべてを結集し、心まで満たすアートのような美しい壁をお届けしたい。このギャラリーを利用する設計者やデザイナーの方々に、アートを選ぶように壁の表情を選んでいただきたいとの思いを込め、『Tink like an Artist』のコンセプトを掲げました。芸術性の高い塗装で、空間の価値も塗装自体の付加価値も飛躍的に高まります。従来の塗装の概念をVALPAINTで変えていきたい」(同)と狙いを語る。塗装とアートを融合させる挑戦的なショールーム。多くの画廊がひしめく銀座だからこそ親和性が高く、そこに出店する意味を持たせた。

VALPAINTは、いかに魅惑的な表情に仕上げられるかが生命線であるため、一部のオープン販売品を除き、ほとんどが施工講習を受けた職人などによるライセンス制での取り扱い。本国が敷いてきたこの手法をカラーワークスも踏襲し、国内展開を始めて以降、取扱希望者を対象に「テクニカル講習会」を続けてきた。その講習修了者(認定ペインター)は既に400名を数える。

「塗装をアートの領域に高めていくためには、認定ペインターさんが持つ感性やテクニックがとても重要です。このため、オンラインでのミーティングを重ねるなど、認定ペインターさんとのコンタクトを改めて強めています。VALPAINTが向かう方向性を共有し、塗装の新たな世界観を築いていきたい」と歩みを進める。



LAYERED GALLERY by VALPAINTのファサード
LAYERED GALLERY by VALPAINTのファサード

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