「実質賃金が上がらない中での物価上昇は、社会の構造的問題が招いた結果。生活者のエンゲル係数が上昇している状況においてDIY用塗料はしばらく厳しい状況を強いられるだろう」と話すのは、和信ペイントの瀬川義浩社長。主力販売先のホームセンターも防犯、防災、米、暑さ対策需要の取り込みに注力しており「今はできることをしっかりしておくことが大事」と今を需要回復期に向けた準備期間と位置づける。
その1つとして注力するのが、クロスマーチャンダイジング(クロスMD)。異なるカテゴリーに属する商品を組み合わせて、顧客の購買意欲を喚起する販売戦略の一環で、既に取引ホームセンター200店舗でクロスMDをスタートさせている。
具体的には、杉KD材(カフェ板)売場での新製品、スポンジ・ウエスなどで塗装できるソリッドタイプの木部仕上げ塗料「Easy Varnish」の同時陳列で、塗装見本板なども並べ、カフェ調の雰囲気を演出するという施策を進行中。また今後、パイン集成材売場での同社の主力商品「水性ウレタンニス」の同時陳列も展開し、同塗料の耐傷性の強さなどをアピールしていく考えだ。更に8月下旬のDIYショーでは、ガーデン用品向けの屋外木部仕上げ塗料「ガーデンパレット」を参考出品し、園芸用品売場での提案を訴求した。
「生活者の嗜好を敏感に捉え、分かりやすい楽しい売場づくりを提案するのが当社の役割」と瀬川社長。継続的に行うホームセンター従業員向け勉強会やワークショップイベントなど、企画提案力で差別化を図る構え。「先取りしすぎてもいけないし、遅れてもいけない」。時代の流れを捉えたバランス感覚を強みに据える。
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