理由があって本紙の昭和60年前後の紙面を見返していた。時代的にはそろそろバブル経済に差しかかろうかという時期だけあって、業界の元気な姿が伝わってくる▲中小メーカーの多くがまだ独自ブランド品で活躍していたことも関係あるのか、今の紙面と比べると新製品情報が圧倒的に多いのが印象的。コンプライアンスやガバナンス、グローバル競争など現代の頻出語もまだ見当たらず、どこか牧歌的な雰囲気も漂っている▲昭和60年というと今から32年前になるが、現在の紙面と同じような見出しもちらほら。「消費者対応のペイントショップづくり」や「色彩産業への脱皮」など現状打開への提言の一方で、「迷走する流通政策」や「激しさ増す価格の叩きあい」「汎用塗料の閉塞感高まる」など今の紙面にそのまま用いても違和感のないフレーズが並んでいる▲30年をかけて業界の基本構造が変わっていないというこの構図。環境の変化が激しい時代にそれでも業界が存続していることをラッキーと見ることもできるが、やはり淋しい▲「ひどいもんだよ」と塗料販売店の経営者。先月(2月)の汎用塗料の市況が特に悪化したことについて口をついて出たコメントだ。叩きあいの声もまたぞろ大きくなってきた。十年一日ならぬ三十年一日の世界。やっぱりラッキーなのかなぁ(K)