アインソリューションズ(広島県広島市、社長・松本優氏)は、2025年11月から販売開始した塗装ゴミブツAI検査装置「デジタルドットゲージ」の提案を加速している。塗膜に付着したゴミブツの目視検査をAI・デジタル技術でサポートする装置で「欠点を鮮明に撮像しサイズを的確に測定できる」ことに機能を絞り込んでいる。開発・製造を担う塗装会社で実際に運用されており、コスト削減・作業効率化といったメリットが実証済みだ。
アインソリューションズは、広島県で焼付塗装を主事業とする塗装会社のムラカワ(社長・村川琢也氏)からスピンオフして設立された。「デジタルドットゲージの開発・製造がムラカワ、販売総代理店が当社との位置付けでビジネスを進めている」と代表の松本氏。
デジタルドットゲージは、スプレー塗装の際に塗膜面に付着した、空気中に浮遊する塵埃や糸くずなどの「塗装ゴミブツ」(図1)に対し出荷前検査にてAI・デジタル技術で人の判断をサポートする装置。用途をゴミブツに絞った理由を松本氏は「塗装現場で起こる不良の中でもゴミブツは形状や種類の多様さ、出荷OK/NG判定の難しさがあり、ムラカワでも一番苦労している。市場ニーズは必ずあるはず」と説明する。
現状、ゴミブツ検査は目視で行われている。通常、クライアントから『3cm角内に面積0.4mm2以上のゴミブツが3個以上あれば不適合』といった具合に明確な基準が設定される。微細な欠点候補のサイズの判別には、大きさや長さの指標(ゲージ)が印刷されたフィルムドットゲージを用いる。これをゴミブツの実物と照らし合わせ、基準に適合しているかを判断する。
松本氏は、現状のゴミブツ検査の課題を「細かい欠点を小さなフィルム片と見比べながら判断する非常に神経を使う作業で、同じ検査員でも疲労で判断にブレが生じてしまう。また、経験の浅い検査員では判断に迷う場合も少なくなく、結局、ベテランが現場に張り付きになってしまうケースも往々にしてある」と指摘する。
更に「検査基準も検査ツールも明確なのに、対象物が小さすぎるため人の感じ方によるムラによって検査結果の違いが生じている。このすれ違いは企業間でも起きており、業界の当たり前となっている」との問題意識も示す。
面積・長さ示し判断を補助
デジタルドットゲージは、ゴミブツを接写するためのカメラ内蔵のプローブ(50g)と、撮影画像を映すモニター(390g)からなる。検査員が片手でゴミブツを撮影し、もう片方の手で持ったモニターで撮像結果を確認するのが基本の使い方だ(写真1)。
モニターには格子状の指標が示され、撮影したゴミブツの大まかなサイズが把握できる。画像中のどの部分がゴミブツに該当するかは内蔵のAIが判定している(写真2)。このAIの学習にはムラカワで収集された約30万枚のゴミブツ画像が使われており、多種多様なサイズ・形状のゴミブツを高精度にキャッチできるという。
具体的な運用方法は、まず検査員が目視で塗装品表面のゴミブツの候補を見つけ出し、それをプローブで覆って撮像する。モニターに映ったゴミブツのサイズを参考に各社の製品ごとの品質基準書に照らし合わせ、検査員がOK/NGを判定する形だ。
「定量的なサイズの情報を示すことで判断の迷いを低減できる。ある程度作業に慣れた検査員であれば、いつでも、誰でも、同じ検査結果を出しやすくなる」と松本氏は効果を強調する。
外光の影響を受けずに撮影できるため、平坦面であれば塗膜の色を選ばずに0.1mmサイズの微細欠点を鮮明に映し出せる。
デジタルドットゲージ活用で、検査精度向上や業務効率化、手戻りコストの削減といった効果があることはムラカワで実証できているとのこと。装置価格は200万円で、購入後すぐに使え、ワークごとのAIの再学習も必要ない。松本氏は「実際に使えば費用対効果を感じていただけるはず」と実用性に自信を示した。
【記者の目】
筆者は以前、AIベンダーで製造業向けのAI外観検査の営業・コンサルティングに従事していた。その経験から「ピンポイント撮像で高精度画像取得」「AIを欠陥や不良の最終判断に使わない」とのアイデアに興味を持った。通常、AI外観検査は完全自動化が求められがちだが、人間の検査員の能力は極めて高く代替は茨の道だ。最終判断は人間が担うというAIとの協同アプローチは合理的と考える。





