日本塗料商業組合青年部(会長・榊原卓哉氏)は2月20日、宮城県仙台市のTKPガーデンシティPREMIUM仙台西口にて2025年度全国研修交流会を開催。全国から30名の会員が参集した。「DX・働き方改革の挑戦を支援するパートナー企業」とのコンセプトを掲げる高山(宮城県)の代表取締役・高山智壮氏と同社営業の鈴木大介氏を講師に迎え「生成AI活用経営セミナー/サイバーセキュリティ対策セミナー」を実施した。
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高山智壮氏は、高山の創業76年目の2022年1月に事業継承し3代目社長に就任。同時に、従来の主力事業であった地域の文具・事務用品販売からDX・IT企業への業態変革を推進した。現在は生成AIやDX、サイバーセキュリティ対策などをテーマとする企業支援サービスの提供を事業としている。
高山氏は研修前半の「生成AI活用経営セミナー」を担当。2022年以降、高山氏自身が毎日2~3時間にわたりAIと向き合い続け、トライ&エラーを経てつかんだAIを経営に生かすためのノウハウについて語った。
高山氏は、ChatGPTやGeminiといった生成AIツールを活用するか否かで経営者が行う作業の時間がどう変わるかについて「新事業立ち上げの際の市場分析や事業計画の作成」を例に挙げて説明。従来は2~3週間かかることも珍しくなかったが、現在はAIツールの活用で「1時間程度でできる。しかも長時間掛けて自分が作成したものよりもクオリティが高い」と経験からの知見を述べた。
「経営者は法務、会計、マーケティング、採用、育成、オペレーションなど、会社のありとあらゆる分野に考えを巡らせる必要がある。こうした知的作業の一部は生成AIツールに任せることができる」とAIが経営者のサポート役を担えると強調した。
しかし、AI活用は非常に有効としつつも「あくまで道具」と釘を刺す。「経営者の『こういう会社にしたい』という志がすべての土台になる。こうした土台があった上でAIは効果を発揮する。また、AIのアウトプットを鵜呑みにせず、最終的な判断を下すのも経営者の役割。ビジョンの設定と意思決定という経営業務に集中できる環境をAI活用によって整えるというのが今後の在り方になる」と説いた。
最新のAIツールの使い方についても言及。例えば「塗料業界の現状」のような業界分析を行う場合には「現時点ではChatGPT5.2のThinkingモードもしくはProモードが最適」との見解を示した。また、AIから有用な出力(アウトプット)を引き出すためのプロンプト(指示や質問などの入力)のコツとして「役割を明確にすることが重要。コンサルタント、カウンセラー、リサーチャーなど、AIがどの立場からの情報を出力するのか決めると精度が上がる」と解説した。
中小企業が経営でAI活用を進めるためには5つのポイントがあるという。「1つ目は知識。情報がないと何事も判断できない。2つ目は活用事例。AIが何に使えるかが分からないとポテンシャルを生かし切れない。3つ目は(パートナーとの)伴走。自社だけでは気付かない部分の気付きが得られる。4つ目が実践と習慣化。習慣化まで落とし込めた企業は本当に強い。5つ目が社内浸透。経営者から幹部、社員へとAI活用が浸透すると、少人数でも高生産性の組織になる」とまとめた。
受講後の参加者アンケートには「大変分かりやすく勉強になった。社内でのAI活用はまだまだできていないので、まずは自分が勉強して広げていきたい」「事業におけるAI活用を考えている最中だったので非常に参考になった。早速実行に移し、社内ナレッジナビの完成を目標に進めていく」といった感想が寄せられた。
サイバー攻撃対策は多層防御で
研修後半は鈴木大介氏による「サイバーセキュリティ対策セミナー」を実施した。
鈴木氏は、日本の大企業で起きたサイバー攻撃被害の事例を取り上げ「システムの定期診断やホワイトハッカーによる模擬訓練(社員研修)、サイバー攻撃を受けた場合の対応を自動で行うEDRといった備えを講じていたがランサムウェアに感染した」と説明。また「サイバー攻撃の対象は大企業に限らない。実際には中小企業の方が多く対策は非常に重要」と注意を促した。
企業におけるサイバー攻撃対策では、ウイルス対策ソフトでウイルスの侵入経路を防御することも重要だが、100%は難しい。鈴木氏は「ウイルスが侵入し被害が発生した場合に、これをどう最小限に抑えるのか、事業を継続していくにはどうすればいいのかという観点も大切」と説明し、「多層防御」がキーワードになると強調した。
具体的には、次世代ファイヤーウォールやウイルス対策ソフト、持出端末の保護、セキュリティHUB、ログ管理ソフト、バックアップ、サイバーセキュリティ保険、セキュリティポリシー、社員教育といった複数の対策を揃えることが情報セキュリティのレベルアップにつながると説いた。





