「えっ!あのホテルでもこの料金!?」。出張先のホテルを探そうと、予約サイトを開いて怯んでしまった。宿泊料金が軒並み跳ね上がっており、以前の倍ほどの相場になっている。前回の出張でも感じ始めていたホテル料金の値上げが、この2~3カ月で一層進んでいるようだ▲全国旅行支援の継続、外国人観光客の受け入れ再開、企業の出張も増えてきており、急増する宿泊需要に供給が追いつかない、そんな事情も見えてくる▲コロナ禍が直撃したホテル業界は大量の離職者を生んだ。需要が回復してもサービスを支える人がいないので、空室を抱えたまま稼働率を下げざるを得ず、その分1室あたりの料金に反映。人を呼び戻すには賃金の大幅アップが必至で、いずれにしても以前のような低料金は望めそうにない。「ホテル代を安く抑えて、浮いたお金で一杯」なんて、出張族の楽しみも遠のきそうだ▲長いデフレ下で染みついた「安くて当たり前」の消費マインド。身の回りのモノやサービスの値上げが相次いでいる今、その転換を迫られているものの、なかなか心が追いつかない。なにせ30年も続いてきたのだから▲頑固なデフレマインドを解きほぐし、値上げに同調してもらえる価値や魅力を企業は提供していけるか。デフレ越えへ向けて跳ねる卯年が始まった(K)