週末の新聞に、いつもの賑わいが戻ってきた。ハワイ、バンコク、シドニー、北欧周遊...観光先がひしめいた海外ツアーの広告が、ドーンと紙面を飾り始めた。コロナ禍で真っ先に消えた海外ツアーの広告が復活。こんなところにもコロナの出口が見えるようで、明るい気分にしてくれる▲この手の広告が多い週末の朝刊。紙面を眺めて海外旅行を夢想するのが、休日の朝の密かな楽しみだった。街の佇まいや騒(ざわ)めきや匂い。海外の異文化の中で感じる高揚感や非日常感に思いを馳せ、ひとり悦に入っていた。その時間を奪われて3年。小市民のささやかな娯楽がようやく再開できそうだ▲が、悲しいかな、夢想が夢想のまま終わってしまいそうな気配である。円安、物価高、航空料金に燃油サーチャージの高騰。ホテル代も日本の上昇率の比ではないと見聞きする。コロナ前までは、少し手を伸ばせば夢想が現実になった海外旅行が再び高嶺の花に▲小紙がコロナ前に行っていた海外の視察ツアー。塗料・塗装にフォーカスしたマニアックな旅程に評価をいただいたが、これからは実施のハードルが上がりそうだ。上昇するツアー料金に見合った満足を提供できるか、これまで以上に内容が問われる。と、そんなことにも気を回せるほど、コロナ明けの近さを感じ始めた(K)