以前、本紙主催の「米国塗料ビジネス視察ツアー」でアメリカへ行ったときのこと。「こちらでは、DIYのテレビ番組が人気ですよ」と説明するツアーガイドさんの話が印象に残った。全国放送からケーブルテレビまで多くのDIY専門番組があり、人気だという▲例えば中古住宅を購入して、素人がDIYでリフォームをする番組。プランニングから資材の調達、大工や水回りや仕上工事での奮闘など、完成に至るまでのプロセスに多くの人が見入るという。DIY人口が多いからこそエンタメとして成立するんだろうなぁと、DIY文化の裾野の広さを感じた▲国内でも10年ほど前に起こった"女性のDIYブーム"でテレビでの露出が急増したが、最近はあまり見かけなくなった。SNSの台頭でテレビの視聴者離れが進み、「予算取りが厳しくなった」と先日会ったテレビ局の関係者が内情を話していた▲だからこそ、アメリカのようなDIY番組はどうだろう。古い空き家を安く購入し、DIYでリフォームして理想の我が家を手に入れるまでの姿を追う密着番組。空き家が増え、人々の実質所得が下がっている今、多くの人に刺さるエンタメだと思うのだが▲DIYが文化として根付けば、塗料にも新たな景色が広がる。そう、部屋の壁を自分たちで塗装して住まいを楽しむ、海外では当たり前の光景が(K)