阪神淡路大震災は1月17日、東日本大震災は3月11日、そして昨年の能登半島地震は1月1日と、いずれも冬の寒い時期に大きな地震が発生した。この時、避難所に身を寄せた被災者を悩ませたのが厳しい寒さだ。指定された小中学校の体育館に避難したものの、その中の寒さが半端ない▲それもそのはず。公立小中学校の空調設備の設置率は全国平均で18.9%に止まっており、特に地方の自治体の多くは5%に満たない状況。しかも、ほとんどの体育館は断熱機能が備わっておらず、冷え込む屋外と変わらない寒さだ。精神的にも肉体的にも被災者をケアしなければならないはずの避難所が、その体を成していなかった▲それが大きく変わる。近年の自然災害の激甚化・頻発化を受け、避難所となる公立小中学校の体育館の耐災害性を高める特例交付金を文部科学省は創設。体育館への空調設置と断熱・遮熱施工を進め、今後10年近くをかけて全国で95%まで高める計画だ。その事業が今年度から本格化する▲ここでのミソは、空調効率のアップとランニングコストを抑えるための「断熱・遮熱施工」が必須となっていること。その点、体育館の稼働を止めない外部工事の塗料・塗装はアドバンテージが見込める。全国の体育館の大変革に業界企業がどう関わるか、要注目だ(K)