職人不足の問題はそこにもあった。賃貸住宅の原状回復である。入居者が退去した際に、壁紙(クロス)を張り替えるなどして部屋を元の状態に戻す原状回復工事だが、「年度末の引っ越しシーズンともなると、クロス職人が足りずにパンク状態」(不動産管理会社)と深刻そうだ▲その問題を「塗装」が解決するかもしれない。インテリアペインター協会(福岡県北九州市、宮本伸宏代表理事)が始めた「クロスカラーリングサービス」である。クロスを張り替えずに塗装で壁紙をリフレッシュし、原状回復する。国内有数の管理戸数を持つ三好不動産(本社・福岡市)での採用を皮切りに全国の管理会社に波及、賃貸住宅のソリューションサービスとして台頭しそうだ▲ポイントは、「究極の簡便性と生産性の向上」(宮本氏)。養生作業は枠や巾木のマスキングテープのみで、マスカーや床養生のポリシートも使わない。塗装はローラーによる1回塗り仕上げで、慣れを要する刷毛作業もない。飛散しないローラーと隠ぺい性の高い塗料と作業動作の最適化で確立した▲「この方法だと、ハウスクリーニングの業者さんにそのまま壁の原状回復もしてもらえる」(管理会社)とクロス職人の不足を解消。職種を越えた工法の確立が、塗料の内装需要を生むかもしれない(K)