3社が営業減益、収益の圧迫続く

大手上場塗料メーカー4社を合わせた2026年3月期の中間業績は、総売上高4,566億5,800万円(2.6%増)、総営業利益409億5,800万円(4.6%減)となった。増収増益(営業利益)を計上したのは、中国塗料の1社。エスケー化研、神東塗料を連結子会社化した大日本塗料の2社は増収減益。関西ペイントは減収減益となった。価格是正を推進する一方、需要全体としては国内外とも需要に力強さが欠ける。地政学的リスクやアメリカの通商政策、円安、人件費・エネルギーコストの高騰などの課題が山積する中、各社の収益改善策に関心が集まる。

 


関西ペイントの連結中間業績は、売上高2,892億2,300万円(1.6%減)、営業利益243億2,600万円(7.6%減)、経常利益286億600万円(10.0%増)、中間純利益161億8,700万円(3.2%増)となった。

国内売上高は799億4,800万円(2.4%減)、セグメント利益は107億8,100万円(0.5%減)。自動車及び工業用はシェア拡大と単価アップが寄与し増収となった一方、汎用は市況低調により減収。船舶用は第2四半期で昨年並みに回復した。収益面では、原材料費が高止まりの中、収益改善が進みセグメント利益率が回復した。

会見に出席した毛利訓士社長は、グループ全体の業績改善に向けて追加施策を厳選し、ERP導入やOperationDXへリソースを投入する意向を表明。加えて「組織全体で成長マインドセットを浸透させるため管理職を対象としたリーダー研修を実施していく。経営陣が工場や事業所を訪問し、現場を担う社員と本音で対話をする機会を作っていく」として改革推進に強い決意を見せた。

その上で今期は、通期連結業績の下方修正を決断。当初予想の2025年度通期売上高6,000億円を5,900億円に修正。各利益項目も営業利益540億円→510億円、経常利益580億円→550億円、EBITDA860億円→845億円、当期純利益360億円→340億円にそれぞれ下方修正した。

中国塗料の連結中間業績は、売上高685億700万円(8.9%増)、営業利益90億5,100万円(14.1%増)、経常利益88億1,500万円(3.6%増)、中間純利益59億1,400万円(29.0%減)の増収増益となった。主力の船舶用塗料分野において、中国、韓国の建造量増加が牽引した他、価格是正が寄与した。

地域別では、国内が新造船向けの需要が堅調に推移した他、修繕船向けも大きく回復し増収。重防食塗料、建材用塗料も伸長した。その結果、日本売上高は222億9,900万円(3.6%増)、利益18億9,000万円(49.2%増)となった。その他、中国、韓国、東南アジアも増収増益で推移した。

エスケー化研の連結中間業績は、売上高529億6,300万円(1.6%増)、営業利益57億6,400万円(6.2%減)、経常利益69億1,400万円(11.7%増)、中間純利益53億1,000万円(15.0%増)。

主力の建築塗料分野は、都市部の大規模再開発、物流施設・データセンター関連は堅調に推移した一方、戸建て住宅需要が停滞。建築費、運送費、人件費の高騰、人材の高齢化など厳しい市場環境を指摘する。

その結果、建築仕上塗材事業は、売上高463億5,500万円(1.5%増)、セグメント利益は62億1,100万円(6.0%減)の増収減益となった。
耐火断熱材事業の売上高は57億1,300万円(4.5%増)、セグメント利益は9億400万円(12.3%増)となった。

大日本塗料の連結中間業績は、売上高459億6,500万円(27.2%増)、営業利益18億1,700万円(28.0%減)、経常利益21億2,400万円(23.2%減)、中間純利益14億500万円(48.3%減)となった。一部製品におけるJISマーク表示の一時停止処分による影響が続く中、前期に連結子会社化した神東塗料グループの損益が増収に寄与した。

セグメント別では、国内塗料事業売上高354億6,600万円(38.5%増)、営業利益5億4,200万円(51.9%減)。海外塗料事業売上高41億5,500万円(0.8%増)、営業利益2億3,900万円(55.8%増)。照明機器事業売上高48億7,700万円(1.1%減)、営業利益8億4,400万円(18.1%減)。蛍光色材事業売上高5億3,900万円(3.7%減)、営業利益1,800万円(44.1%減)となった。



2026年3月期大手中間決算
2026年3月期大手中間決算

HOMENew Trend3社が営業減益、収益の圧迫続く

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