塗料・塗装 × AI ドック入りのAI予測サービス開始

「建築」「金融」など、ターゲット業界に特化したAIサービスの開発・提供を手掛けるメタリアルのグループ企業であるロゼッタ(東京都千代田区、社長・五石順一氏)は、9月5日から船舶が塗装のメンテナンスでドックに入るタイミングを予測するAIエージェント「Metareal シップペイント(SP)」のサービス提供を開始した。船の使用期間や船底塗料の種類、メンテ頻度、航路などの情報を入力すると、国内外のネット上の関連情報を分析し、メンテ時期に関するレポートが出力される。


AIがニーズ探索しサービス構築

「Metareal SP」はメタリアルグループが展開する「シゴトオワルAI」シリーズの1つ。特定の業界の課題解決支援を目的とするAIサービスで、「建築設計に必要な省エネ性能などの各種データを収集・解析してレポート化」が可能な建築業界向けの「Metarealエコデザイン」や、「現場監督の報告書作成」を支援する建設・土木業界向けの「Metarealコンストラクション」など、これまで約100タイトルをリリースしている。

ターゲット業界の選定や、それに合わせたAIサービスの構築も、すべてAIエージェントが担っている。「多種多様な業界に精通した人材が社内にいるわけではなく『この課題であれば高精度なアウトプットが出せる可能性がある』とAIが判断している」とメタリアルCSOの三好真氏。

「イメージとしては、当社が独自にセッティングしたAIエージェントに対し『あらゆるビジネス分野におけるニッチ課題を世界規模で収集してほしい』『収集した課題をAIで解決するにはどうすればいいか検討するサービスを作ってほしい』といった指示をすることで、業界特化型AIサービスを次々に生み出せている」と説明した。

船底塗料や航行ルートなどを入力

「Metareal SP」の具体的なサービス内容は、無料登録可能なウェブサイト(https://metarealsp.cmplt.ai/)にアクセスし、プロンプト(AIに対する指示や質問)と補足情報をまとめた資料を入力すると、AIが資料を解析してプロンプトに対するレポートが出力されるというもの。

ウェブサイトには、プロンプトのサンプルとして「対象企業の船舶塗装需要、競争優位性、市場ポジショニングを包括的に分析し、営業提案レポートを作成してください」といった内容が示されており、入力の参考になる。

添付情報について、三好氏は「Metareal SPをテストしたい場合は、例えば、船舶自動識別装置がついている船舶が対象であれば船舶名や固有の識別番号(IMOナンバー)、加水分解タイプやシリコーンゴムタイプなどの使用している船底塗料の種類、これまでの塗装メンテナンスの回数と時期、航行ルートと航行頻度などが含まれていれば、対象船舶のメンテ時期に関する、ある程度のクオリティのレポートが期待できる」とコメント。

入力に対し、Metareal SPは、インターネット上にある世界中の船舶塗装関連の情報を高速で収集・分析し、レポートをPDFで出力する。

外観検査と組み合わせたキズ対策も

Metareal SPはどのような利用者を想定しているのか。「船舶塗料メーカーの営業担当者、船舶メンテナンス事業者の営業企画部門、海運関連のBtoB営業に従事するビジネスデベロップメント担当者を想定しているが、現時点では『誰に刺さるのか』は明確ではない。まずはサービス窓口となるウェブサイトを立ち上げ、そこを起点に情報収集を進める方針」と三好氏。

Metareal SPに入力した船舶や塗料についての情報のセキュリティについては「主な対応策は3つ。1つ目は、サービス上で添付されたファイルやプロンプト、出力内容に関しては学習に利用されることはない。2つ目は、日本の東京エリアのサーバー上で稼働。3つ目は、バックアップデータの保管期間を1カ月とし、1カ月経過後に削除する」と説明。

要望に応じ、Metareal SPの機能をブラッシュアップしたり、カスタマイズしたりすることにも対応。
 「一案として、AI外観検査との組み合わせがある。船体についたキズをドローンなどで撮影し、これを学習させ、キズの深刻さの度合いを判定可能なAIを別で構築すると、Metareal SPはこのAIの判定結果も取り入れて適切なメンテ時期を予測できるようになる」と展望していた。

キーワード◇AIエージェント
設定された目的を実行する自律型のAIプログラムのこと。
例えば、Metareal SPでは、「塗料の塗り直し時期を予測する」という目的に対し、「ネット上の情報収集」「情報の取捨選択」「適切な情報の確定」「情報を見やすく表やグラフに変換」といった作業を人間の手を介さずに実行する。



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