日本塗料商業組合は、令和7年度の「塗料販売店の経営活動調査報告書」を発行した。調査は6月に行われ、1,035店にアンケートを送付し396店から回答を得た。回収率は近年では最も低い38.3%にとどまった。
「販売店の会社概要」「過去1年間の売上・利益の変化と今後の予測」という定例のテーマに加え、今回、「事業継承」「労働時間、休日数の状況」「仕入れ運賃や小口料(調色、小分け)の請求実態」「製品および運賃値上げの転嫁状況」「地震・水害・火災等の災害や企業活動上のリスク対策」の調査・分析を実施した。
また、組合活動の参考のため「国家検定の塗料調色技能検定」「組合の各種活動」「ブロックおよび支部活動」の調査も実施。
売上額が社員数に比例する傾向はこれまでの調査と同様。売上額が1億円未満と回答した67社のうち「社員数1~5人」が95.5%超を占めるのに対し、売上高50億円以上の24社では87.5%が「51人以上」となった。
1社あたりの年間売上額は「1~3億円」が27.9%と最多。また全体の44.9%が売上額3億円未満だった。
最も取り扱いが多い分野は、「建築用」49.0%、「自動車以外の工業用」19.2%、「自補修」13.6%の順番となった。
年間売上の構成割合は、塗料のみが占める割合が「70%」、または「80%」と回答した社店が多かった。塗装関連機器、設備・副資材が占める割合は20%が最も多い。
昨年(令和6年)と比べた場合の塗料販売の割合の変化については、「増えている」と「変わらない」の合計が59.8%となった。これは令和5年度に実施した前回調査の66.6%より減少しており、かつ、前回比で「減っている」が21.8%から28.0%に増加していることから、国内需要の減少が窺われる。
過去1年間の売上額は「横ばい」が29.0%で最多。今後1年間の売上予測では、社店の約73%が「横ばい」もしくは「減少」と予測(図1)。
過去1年間の売上額の変化では、売上が「10%以上減少」したとの回答が7.8%にのぼった。これは、平成26年から今回までの8回の調査において、コロナ禍の最中だった令和3年の調査(27.3%)を除いて最も多かった。
規模・分野別の過去1年間の売上額では、「1億円未満」から「50億円以上」までのいずれの規模でも売上減少の割合が増加。分野別でも、自動車関連以外は売上減少の割合が高く、「家庭用」が66.6%と最も高かった。
今後1年間の分野別の売上予測では、「自動車関連」(53.3%)及び「船舶用」(50.0%)の減少を予測する回答が多かった。
過去1年間(令和6年)の利益額は「横ばい」が32.6%で最多。今後1年間の予測では「横ばい」(42.4%)もしくは「減少」(32.6%)と予測しており、増加への期待度は薄い。
過去1年間の利益額の変化では、売上額同様、令和3年の調査(21.2%)を除き、過去8回の調査の中で「10%以上の減少」の割合が6.8%と最も高くなった。
分野別の今後1年間の利益予測は、前回に対し、すべての分野で「減少」との見方が10%程度増加した。
事業継承については、80%を超える組合社店で事業継承を計画している一方、12%超で「自分の代で廃業を検討」している実態が浮き彫りとなった(図2)。特に、1号組合員(従業員数1~10人)で廃業を検討している割合が高い。
週当たりの平均労働時間(時間外含む)は40~48時間が61.4%で最多。59時間以上との回答も3.0%あった。また、年間休日数は106日~110日が26.3%で最も多かった。
仕入運賃や小口料などの得意先への請求方法は、「製品価格に含めている」が74.3%と最も多く、「製品価格と運賃を別建て」が19.2%、「製品価格と運賃、小口料を別建て」が15.2%と続いた。
メーカーからの製品値上げに対する得意先への価格転嫁は「6割程度以上できている」が92.7%、運賃値上げの価格転嫁は「6割程度以上」が84.7%となった。




