塗装のボランティア団体・塗魂(とうこん)ペインターズは10月5日、名古屋市内のホテルで全国会議を開催した。戦後80年に当たる今年は、沖縄、長崎、広島で終戦80年ボランティア塗装を実施、発足からの累計は220カ所を超えた。一方、会員の多くが主力とする住宅塗り替え市況が厳しくなる中、会員に向けた勉強会の開催も発表。ボランティア活動の実施と各社の事業成長の両立を目指す活動に拍車をかける。全国の会員、協力メーカーなど300名が参集した。

塗魂ペインターズは、"塗装でできる社会貢献"を掲げて2009年に発足。予算などの都合でメンテナンスができない建物や施設などでボランティア塗装を実施し、これまでの累計は国内外で222カ所に及ぶ。当初、13社でスタートした会員も300社以上に拡大、ボランティア活動を基点とした同業者連携として活発な活動を続けている。

戦後80年に当たる今年は、第二次世界大戦の悲劇や平和を象徴する沖縄、長崎、広島で塗装ボランティア活動を実施。4月にボランティア塗装を行った沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」の普天間朝佳館長が駆けつけ、施設がきれいに蘇ったことへの感謝を述べるとともに、「沖縄・ひめゆりからのメッセージ」と題した講話を行った。沖縄戦の悲惨な実相を伝え、平和の尊さを伝えるひめゆり学徒隊からのメッセージをビデオで放映、80年前の少女たちの辛苦に思いを馳せた。

一方、住宅塗装リフォームの市況が急速に悪化している中、会員向けの新たな企画も発表された。この市場の成功企業・ミヤケン(群馬県前橋市)の宮嶋祐介社長が講師になり、同社の経営ノウハウを会員に向けて講義する。厳しい市況の中でも年率120%の成長を続けるノウハウを共有、会員の事業を後押しする。

全国会議の冒頭であいさつに立った佐々木拓朗会長(千葉・ユウマペイント)は、「住宅塗装マーケットの縮小、価格競争、コストアップ、職人不足など複合的な危機に見舞われている中、私たちに必要なのは突破力です。塗魂ペインターズという同業者連携の相互啓発を基点に会員各社が突破力を養い、この危機を乗り越えていきましょう」と力強く呼びかけた。