日本塗装工業会(日塗装)は4月14日、中東情勢に伴う塗装業界の窮状を訴えるべく、金子恭之国土交通相あての緊急の要望書を国交省で提出。それを受け、同日午後に東京・渋谷の塗装会館で記者会見を開いた。加藤憲利会長は、「シンナーの入手が極めて困難な状況にあり、国家備蓄と代替輸入でナフサが確保されているという国の見解と現場との間に大きな乖離がある。目詰まりが発生しているとするならそれがどこなのかを特定し、一刻も早く解消してほしい。今いちばん求められているのは、いつまで耐えれば正常化するのかといった、先の見通せる国からのコメントだ」と訴えた。
今回のナフサ不足で「塗料用シンナー」の枯渇が象徴的に報道されていることから、全国紙や在京のテレビ局も多数会見に出席、関心の高さをうかがわせた。
日塗装が国交省に提出したのは、「中東情勢に伴う塗料原材料の安定供給及び価格高騰に関する緊急要望書」。①シンナー、塗料及び塗装に係る副資材の確実な供給確保②著しい値上げに伴う価格変更と品薄に起因する工期延長への配慮③事業支援のお願い④不正取引行為への対応強化といった内容だ。
材料や資材の供給確保については、ナフサの国家備蓄や代替輸入で必要量は確保できているとする国と、シンナーやマスカーなどの副資材が枯渇して混乱に陥っている現場とは大きな乖離があるとし、シンナー、塗料、副資材の「現場への供給」を担保する措置を要望。「現場ではシンナーやマスカーの盗難事件も起きていると報告を受けており、そのこともお伝えした」と窮状を訴えた。
また、シンナーや塗料の目詰まりが、塗料メーカーや塗料販売店などの「川中」で起きているとの報道が多いことに対し、「今回の事態が発生してから、製・販・装で緊密に連絡を取り合っている中で、メーカーや販売店さんにも物が無く、造れない、供給できないといった事態にあると聞いている。そのことを伝えたところ、国交省さんも川中に材料が入っていないことを把握し始めており、経産省と連携して施策を打ち出すとのことだった」と説明。目詰まりの特定と解消を求めたとした。
また、著しい値上げと品薄で工期に影響が出始めているとし、ゼネコンやディベロッパーなどの発注者に対して適切な価格変更や工期延長の協議に応じること、工期遅延によるペナルティーを科すことがないよう周知徹底してほしいと国交省に求めた。
更に、日塗装会員の多くが小規模事業者であることから、相談窓口や資金繰りなどのセーフティネットの拡充を関係省庁と連携して実施してほしい旨伝えたと説明した。
洗浄シンナーの上澄み再利用
極限の節約強いられる塗装現場
日塗装は、今回の事態が経営にどのような影響を及ぼしているかを把握するため、全国の会員に緊急アンケートを実施。2,306社の会員のうち850社の回答を得、その結果を会見で報告した。実施時期は4月6日~10日。
資材の入手状況については、約7割が「数量制限」または「入手困難」と回答。
特に深刻なのはシンナーで、「通常通り入手できる」との回答はわずか2.7%にとどまった。「鋼橋塗装に不可欠な溶剤系塗料はシンナーを必要とするため、その枯渇は社会インフラの毀損に直結する。台風の大型化や水害の頻発などインフラメンテの必要性が高まっている中で、深刻な事態になることを懸念している」とコメントした。
価格高騰に関しても特にシンナーが極めて顕著で、「1.5倍~2倍」との回答が5割、「2倍以上」も2割に達していると報告。
今後の懸念については、9割以上の会員が「さらなる価格高騰」を、8割以上が材料の入手難による「工期遅延」を懸念しており、資金繰りの悪化から従業員の給与支払いを案じる切実な声も寄せられているとした。
業界の総意としては、あまりにも急激な供給不足と価格高騰に対し、まずは「塗料・シンナー等の供給正常化」を望む声が圧倒的。現場では、洗浄に使ったシンナーの上澄みを再利用するなど「極限の節約を強いられている」と窮状を報告した。
加藤会長は会見で、「日塗装の会員は小規模事業者が多く、事態が長引けば倒産や廃業も出てくると思う。担い手不足にある建設業において、そこで離職した職人さんが果たして戻ってくるのか。人手不足が更に深刻化することを強く懸念している。今いちばん求められているのは、いつまで我慢すればこの事態から抜け出し正常に戻るのかといった、先の見通せる国からのコメント。一刻も早く目詰まりの特定と解消をしてもらうよう、国の指導力を強く求める」と訴えた。
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