「やさしい日本語」をご存知だろうか。普段使われている日本語をより簡単に分かりやすくした言語で、在留外国人など日本語能力が不十分な人に向けたコミュニケーション手段である▲難しい言葉を言い換える、文章を短くするなど、この日本語には「平易」と「思いやり」の2つの「やさしい」が込められている。外国人はもちろん高齢者や子どもたち、障がいを持つ人にもやさしい日本語は、多様化と共生の時代にこそふさわしい▲その「やさしい日本語」を覚えたいと切に思う場面があった▲京都市の建築塗装業・小室塗装店(小室浩之社長)で働くチャン・ドゥオン・ルアンさん(28)は、技能実習生として6年前にベトナムから来日した。実習生の期間を経て特定技能外国人1号に移行。そして昨年、在留期間に制限のない特定技能2号の評価試験に合格した▲日本人でも受かるのが難しいと言われる試験に向けて独学で挑戦。当時はまだ建設業全体でも合格者は数えるほど、塗装業界ではおそらく初の快挙だ▲先日、同社を訪ね、ルアンさんに取材を受けてもらった。仕事終わりで疲れているはずなのに、当方の"やさしくない"日本語の理解に努めてくれる誠実な人柄。魅力的なその人物像に迫るには、あまりにも稚拙なこちらの日本語に、反省しきりである(K)