大日本塗料は5月22日、報道及び機関投資家向けに2025年3月期決算説明会を開催した。会見には同社里隆幸社長と永野達彦常務が出席。決算実績、業績予想、中期経営計画の進捗状況とともに今年3月に実施した神東塗料連結子会社化による財務効果及び今後の協業策について説明した。

2025年3月末のバランスシートによると、神東塗料(連結子会社含む)の連結子会社による2025年3月末の資産合計増加額は317億円、負債合計増加額は180億円。資産合計増加分の内訳は、流動資産129億円(現預金40億円)、神東連結による有形固定資産187億円(土地166億円)となった。一方、負債合計には神東塗料の借入50億円、同社借入10数億円が含まれる。

これにより自己資本は54億円増加し、自己資本比率は前期比10ポイント弱減の48.8%。「資本コストやROEの観点から50%を下回る方が好ましいと考えている」(永野氏)と述べた。

一方、事業面において里社長は、「神東塗料の連結化により『ビジョン2029』で掲げる売上高1,000億円目標は射程圏内に入った」と説明。ただ営業利益の目標到達には課題を残しており、「神東塗料との事業提携コミッティを通じて総合的な収益率改善に向けて検討していく」と収益改善に注力する意向を示した。

具体策としては、両社で組織する事業提携コミッティの傘下に調達、生産、人財等に関する分科会を設置し、短期・長期両面からシナジーを生み出す体制構築に着手する。調達面では原料の共同購買・共通化、生産面では生産設備の共有、集約を図る。合わせて人財の相互交流、育成の協働も進め、「2029年度までに総額15億円程度営業利益を押し上げられる」との見通しを示した。

会見では神東塗料の上場維持の是非を問う質問が出たが「取締役会でも最初から完全子会社にするべきとの意見もあったが、長い歴史を持つ神東塗料の社風や自主性を尊重した関係性を構築すべきとの意見でまとまり、上場維持に至った」と説明。その上で「事業提携において一番踏み込んだ検討をしなければならないのが生産の最適化。国内需要が減る中で、設備過剰、生産コストの上昇が続く中で、製造場所、製造品目を検討していく。更に踏み込んだ先に資本関係の議論になると思うが、今は現状の関係で双方にメリットが出る形を追求していきたい」と述べた。