有機薄膜太陽電池の販売開始 塗料事業とシナジー狙う

塗料商社の熊野屋(本社・東京都中央区、代表取締役会長兼社長・仲隆仁氏)は、独・Heliatek(ヘリアテック)社の有機薄膜太陽電池(OPV)の販売を始めている。新商材であるOPVを取り扱うことで、塗料事業とのシナジーも期待ができるとして新たな展開を図っていく。

 


150年の歴史を持つ熊野屋は専門商社として、塗料・前処理剤、塗装機器、防錆材の他にさまざまな機能性材料を取り扱っている。販売先は船舶、鉄鋼、宇宙、航空機、防衛など社会インフラ関連を中心に幅広い産業向けに商材及びサービスを提供する。今般、新たな商材としてOPVが加わった。

もともと、同社は日本発の次世代太陽電池技術として注目されているペロブスカイト太陽電池に関心を持った。その理由は、ペロブスカイト太陽電池の構造がフィルムや発電層などの各層を重ねることで製造されるため、そこでコーティング技術が生かせるのではないかと考えたためだ。

ただ、調べるにつれてペロブスカイト太陽電池自体の販売を考えたが、鉛を含有していることを知り、主体的に取り扱いを断念。その時に知ったのが有機物のみで構成されるOPVだ。

昨年10月にドイツのへリアテック社と契約を結び、12月にOPVを輸入し今年1月から販促活動を開始した。

1.6kg超軽量で簡易設置

熊野屋が販売するのは、超軽量、柔軟性、超薄膜といった特長を持ち、裏面に接着剤を施した有機薄膜太陽電池。設置場所の自由度が高いため、太陽光発電で広く使用されているシリコン系太陽電池では難しかった建物の壁面など、従来では設置できなかった場所への設置が可能となる。

モジュールは長さ2,000mm×幅436mmで、重量は1.6kgの軽量のため耐荷重の低い屋根や壁面にも設置が可能となる。柔軟性があり、最小曲げ半径は50cmで、局面や直線でない面に貼り付けられる。厚さは2mmで、裏面に接着剤を施しさまざまな素材に貼り付けられる。素材には60%以上の接地面積が必要となる。架台や足場が不要でビス止めが必要ない簡単な取り付け作業に対応している。耐久性に優れ20年の寿命があり、ペロブスカイト太陽電池にも勝る。

同品はヨーロッパや韓国、中国において実績を重ねており、強風域や塩害地域でも問題なく発動している。国内では、同社の物流センター(埼玉県久喜市)で実際に取り付けている。物流センターの壁面はふっ素樹脂カラー鋼板だが、接着に問題なく取り付けられた。OPVへの関心は高く、自動車関連企業や大学などで数枚からの検証を行っている。

発電効率は8%であり、シリコン系太陽電池の約20%と比べると劣るが、設置自由度の高さ、更に薄膜・有機物のため廃棄する際には廃棄物量が大幅に減らせるなどのメリットがある。

事業展開ではサニックスエンジニアリング社と連携し、サニックスエンジニアリング社が設置工事を担い、熊野屋は商材販売に特化して展開する。

発電効率は普及しているシリコン系太陽電池には劣るものの、建物壁面や倉庫などの軽量建物やカーポートの屋根といった用途での採用を目指す。国の後押しもあり、薄膜太陽電池全体の需要としても拡大が期待されており、同社としてもOPVの展開を強化する。

また、室内用途としてフランスのドラキュラ・テクノロジーズ社のOPVを販売している。インクジェット製法のOPVで、振動センサーや温湿度計といった機器類などを製品に組み込んで使用することを提案する。最近は街中で広告として使用される電子ペーパー向けにも提案していく考えだ。

塗料需要の創造へ

今後、塗料事業の顧客に対し工場や倉庫でのOPVの提案を行うと同時に、新商材を扱うことで塗料事業とのシナジーも期待できる。企業にOPVを提案する中で、顧客の要望によっては、ペロブスカイト太陽電池やシリコン系太陽電池も紹介するが、それらに加えて同じ省エネ商材として遮熱塗装の提案を行えるのが同社の強みだ。

例えば素材の形状によってモジュール設置面積が60%に達しないような箇所には遮熱塗装を提案する。一般の太陽電池の販売会社とは異なり、素材への対応力が優れる塗料・塗装の特性を熟知した同社ならでの強みだ。

国内の塗料市場にシュリンク傾向が見られる中で、新たな商材の取り込みは販売業にとっては重要な課題。熊野屋はOPVという新商材の取り込みで、太陽電池需要だけでなく潜在的な塗料需要の顕在化も図っていく。



物流センターに設置
物流センターに設置
架台不要で簡単に貼り付けられる
架台不要で簡単に貼り付けられる

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