究極の環境配慮、次世代塗装工場へ

久保井塗装(所在地:埼玉県狭山市、代表取締役:窪井要氏)は2月にプラスチック部品用の超高塗着塗装技術の開発に成功したと発表、塗着効率85%を実現した。同社ではこれまでも塗装専業者でありながら、抗菌加工塗装や放熱塗装といった機能性塗装の開発を行っており、現場ノウハウを生かした技術開発に取り組むことで成長を目指していく。


この研究開発は経済産業省の令和4年度「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」補助金を受け、東京都立大学、明治機械製作所、武蔵塗料と共同で行っ

た。
新技術は、プラスチック部品の塗装技術を高度化し、塗装機器、塗料、塗装ロボットシステムを開発することで、通常では40~50%だった塗着効率を85%以上という非常に高い水準に向上させた。

久保井塗装が開発した超高塗着塗装技術はエア霧化スプレーガンによる塗装であり、ガン先端のノズルに特殊形状を施し、ガン内部のニードル(塗料の止出制御の役目)のオンオフ反応の精度を高めるなどの工夫を行った。

その結果、低圧かつエア流量を抑えても塗料を霧化することに成功。被塗物とのガン距離は一般的には200mmに対し、開発塗装機では50mmの近接塗装を可能にしている。対象被塗物は10cm~5cm以下の小物品をターゲットとしており、メタリック塗装やマット塗装など膜厚管理が重要な塗装にも適している。

エアを出す圧力や流量が抑えられるため省エネにつながり、塗着効率が高いため塗装ブースの給排気も抑えることが可能。塗装ブースのコンパクト化にも寄与し、環境に配慮した塗装が可能となる。

また、塗料のムダをなくし効率化の実現に向けて、工業塗装生産管理システム「KCW-CMS」を開発。自社で使用するとともに外販も行っており、複数の塗装会社で実績を重ねる。

「KCW-CMS」では同社が50年以上培ってきた工程管理ノウハウを投入し、被塗物の入荷と在庫管理、塗料の手配と残量管理、受注管理、作業者ごとの業務管理、製品ごとの作業標準・検査基準の管理、電子秤と連携した塗料調合管理、完成品在庫の管理など、工場の生産業務全体の"見える化"を行う。

今後の展開として、塗装工場の在り方として重要視するのがサーキュラーエコノミー(循環経済)の視点だ。できるだけ廃棄物をなくす意味でも超高塗着塗装技術が果たす効果は大きい。

現在、次世代塗装工場と位置付ける新工場の建設を進める。ロボット塗装のみの完全自動化を計画しており、使用する電気は太陽光発電システムの導入などで3分の1を自給する予定だ。



現工場に隣接した新工場を建設予定
現工場に隣接した新工場を建設予定

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