この前の日曜日、すっかり日が落ちてから妻が「ユニクロに行きたい」と言い出した。
私は「嫌だ。面倒臭い」と返したが、妻は再び「自分の好きなことばっかりして、全然私の希望を聞き入れてくれない」と応戦され、私は折れるしかなかった。どうやら妻は、週末からユニクロがセールを実施していることを家族や友人から聞きつけ、行きたい衝動に駆られたようだ。

実は私がユニクロに行きたくない理由は、ただ面倒臭いという気持ちだけではなく、否が応にも出費を強いられることが分かっていたからだ。
普段ファッションに無頓着な私は、ユニクロに行くたびに、あれが足りない、これが足りないという気分になり、つい買いすぎて後悔するという経験が過去に何度もあるためだ。

今回もユニクロが打ったセールのタイミングも絶妙で、少し肌寒くなった時期にあてつけ、「秋冬に備え、自分の洋服ダンスの中身を思い返してみませんか」の前面押し。当然、「あれが足りない」「これが足りない」と店内を徘徊するはめになった。

1時間後、結局私は、ダウンジャケット、パンツ1枚、シャツ2枚、ベルトを購入。仕事にゴルフに便利だと、目先の安さに惹かれて次々にカゴに詰め込み、予想外の金額に。蓋を開ければ、妻は本当に見ただけで、買ったものの9割が私のものだった。

振り返ると、これがユニクロの戦法のような気がする。普段からファッションに関心がある人はいざ知らず、ファッションに無頓着であればあるほど、ユニクロの標的になりやすいということに気づく。ファストファッションなる業態は、普段ファッションに無頓着な層に消費させる見事な業態であるとも思う。

そして私は家で買ったものを広げながら、「必要なものを買えて良かった」と自分を納得させるのである。