世界最大級のカスタムカーの展示会「東京オートサロン2024」が1月12日から14日の3日間、千葉県の幕張メッセで開催された。コロナ禍が明け4年ぶりのフルスペックの開催で、出展社数は378社と昨年より37社増加、出展車両も昨年より100車以上多い900台近くのカスタムカーやコンセプトカーが並んだ。会期中23万人もの来場者が訪れ、モーターファンの熱気に包まれた。

前身の「東京エキサイティングカーショー」として1983年にスタートした東京オートサロンは、カスタムカーの祭典として発展してきた。「見た目のカッコよさ」「個性の表現」「乗り心地のアップ」などクルマをカスタマイズする魅力や面白さを発信。多くのモーターファンに支えられ、カスタムカー文化を広めてきた。

近年は、カスタムショップだけでなくカーメーカー各社も出展。オートサロンに合わせて新車やコンセプトカーの発表を行うなどショーの存在感が更に高まってきている。今回も、アウトドアのトレンドに乗ったユニークなコンセプトカーがいくつか見られた。

SUBARUはSUVのフォレスターとレガシーアウトバックをベースに、カスタムパーツの「BOOST GEAR」の展示を行った。「BOOST GEAR」は、クルマのドレスアップを図るだけでなく、追加されたカスタムパーツ自体に機能が備わっている。ボディサイドやリアセンターにはプロテクターデザインのパネルを追加、フェンダーやサイドドア下部のチッピング塗装は走行中に跳ねた石などによる傷つきを防止するともにアウトドア仕様としてのデザイン性も持たせた。また、ボディに施したチタン調ヘアラインのラッピングは、車体の傷防止とともにSUBARUの世界観を表現した。

日産は本格SUVのエクストレイルをベースに、オフロードテイストとタフギア感をさらに高めた「エクストレイル クローラーコンセプト」を展示。
「エクストレイルも発売後、改良を重ねるたびにシティよりになっていたので、原点回帰の狙いを込めてオフロードテイストを強調、お客さんの反応を見てみたい」とコメントした。こちらもフロント、サイド、リアの下部にはポリウレアによるチッピング塗装を施工。傷つき防止機能だけでなく、チッピング塗装そのものの質感やギア感でオフロードの世界観を表現、クルマの意匠トレンドとしての存在感を示した。

スズキが参考出品した「スーパーキャリィ マウントトレイル」は、世界初の"ドアなし軽トラ"だ。「オフロードでも走ることができる力強さとデザイン性を兼ね備えたコンセプトモデル」と話し、来場者から注目を集めていた。また同じくコンセプトカーとして展示した「スペーシア パパボクキッチン」は、車体後部にキッチンセットを備えた車両。料理で親子のコミュニケーションが弾むファミリーキャンプの世界観を表現し、人気を呼んでいた。

アウトドア以外で興味を誘ったのは、レストアカーの展示だ。情緒や趣きのある旧車のフォルムを生かしながら、クルマとしての走行性を復元し現代によみがえらせるレストアカーのカテゴリー。

自動車大学校が展示していたのは1968年製のルーチェのレストアカー。吉井自動車工業が開業記念に購入した車を同校が譲り受けて保管していたもので、経年劣化で輝きを失っていた車両をリフレッシュ、もう一度自動車として活躍できるようにした。「純正風カリビアンブルー」で塗装された車体は、古き良き時代の郷愁をまとい、存在感抜群。この車の復元には、アクサルタコーティングシステムズやユーキ塗料などの業界企業も、塗料や副資材の提供で協力した。