神奈川県工業塗装協同組合(石川政男理事長)は2月24日(土)と25日(日)の2日間、横浜新都市ビル9階センタープラザ(そごう横浜店)で「第33回神奈川工業塗装まつり 塗装技能コンクール」を開催した。東京工業塗装協同組合と埼玉工業塗装協同組合が共催した。

会場が横浜駅の代表的な商業施設・そごう横浜店とあって、関係者だけでなく一般の来店者も気軽に立ち寄る姿が多く見られた。

展示されたのは、第33回塗装技能コンクール作品の指定作品及び自由作品の特別賞や優秀賞を始め、神奈川工業塗装協同組合が独自に行っているマイスター認定制度のマイスターによる作品や神奈川県東部総合職業技術校生の作品も展示された。

石川理事長は「工業塗装は一般の方には知られていない。実際にどういう風に塗装されているかなど、あらゆる製品に関わっている工業塗装に理解を深めてほしいという思いがある」と工業まつり開催の狙いを語る。

更に開催目的の1つである技術伝承について「指定作品では開催初期に比べて確実にレベルは上がっており、自由作品についてはもともと芸術肌の人たちが工業塗装の世界に入ってくることも多く、マイスター作品を見てもそれが現れている」と述べ、技能向上の役割としても大きいとの考え。

同協会では6年前から独自にマイスター認定制度として、基準をクリアした技術者にマイスターの称号を与えている。今回もマイスター第1号の田中勝彦氏(西浦塗装工業所)による瓢箪への塗装作品をはじめ、マイスターによる多彩な作品を展示した。

石川理事長は「マイスターの芸術性の高い作品を出すことで、一般の人の目にとまり工業塗装に親しみを持ってもらいたい。作品を通して工業塗装という仕事の技術力も伝えたい」とマイスター制度を設けることで技術力の訴求を図る。

マイスター第5号の竹田幸司氏(日栄美装)はエアブラシを使った人物画と猫画、グラインダー掛けで炎を連想させる3作品が出展された。
竹田氏は「社長から声を掛けられて遊びの延長で作品を作りました」と笑みを浮かべる。20年前から興味があったエアブラシを習い、趣味として作品作りを続けていた。現場で行う塗装とは異なる技法を駆使して多彩な塗装作品を作り上げる。これまで「趣味なので家で飾っているだけ」であった作品に多くの人が目をとめていた。

また、今回、自由作品の神奈川県議会議長賞を受賞した山本栄美加さん(日栄美装)は塗装業務ではなく事務を行う女性だ。山本さんは「技能コンクール用の板が余っていたから」と出品の経緯を話す。社長の後押しやマイスターの竹田氏のアドバイスもあって出品したところ、大きな賞を受賞した。前職のネイルサロンでエアブラシの経験もあり、ものづくりに興味があったという。

山本さんは「(今まで経験したものより)版が大きくなるので調整が難しかったです。デザインを表現するためのマスキング作業が大変で、規定サイズ内で考えたデザインを入れ込むのにも苦労しました」と振り返る。それでも「すごく楽しかった。来年も機会があれば出したい」と意欲を見せた。

塗装技能コンクール作品の優秀作品の表彰式は3月22日に行われ、入賞作品は6月頃に神奈川県庁でも展示を行う予定。