「mt」×タカラ塗料で内装需要創出へ
塗装下地用マスキングテープ発売

室内のDIY塗装を盛り上げるアイデア商品が発売された。壁や天井に塗装下地を手軽につくれるマスキングテープ「ペインタブルテープ」だ。大阪市の塗料ディーラー・タカラ塗料とマスキングテープメーカーのカモ井加工紙のコラボで誕生した。壁の塗装への抵抗感を下げ、住まい手によるDIY塗装を後押し。原状回復のしばりで手を出せなかった賃貸住宅の室内塗装の需要も狙える。塗料の内装需要拡大の切り札になりそうだ。

　「以前から、幅広のマスキングテープのアイデアを持っていた」とタカラ塗料の大野一馬社長。
　「塗料を使うライフスタイルを広める」ことをミッションにしている同社。海外のようにDIYで室内の壁を塗るトレンドを生み出したいものの、「壁に直接ペンキを塗る抵抗感がある上、賃貸住宅は原状回復義務のために壁を塗装することすらできない」。そうした問題を解決する手段として、「壁に塗料がつかないよう、幅の広いマスキングテープで覆ってしまえばいいのではないか」。そんなアイデアを温めていた。
　今年の春ごろ、カモ井加工紙の谷口幸生専務と会談する機会があり、このアイデアをぶつけたところ「速攻で試作品が送られてきた」（大野社長）と商品化の話が一気に進んだ。
　今秋、同社とカモ井加工紙のダブルネームで販売を始めたのは、塗装下地用のマスキングテープ「mt casa paintable tape（ペインタブルテープ）」。30cm幅のワイドなマスキングテープで、それを貼って壁を覆うことで元の壁を気にすることなく室内の塗装を楽しめる。幅30cm×長さ40ｍで、1本で約12㎡の塗装下地がつくれる。入隅など細かい箇所に貼りやすいよう10cm幅の細いタイプも用意した。
　使い方は、ペインタブルテープの端部を1cmほど重ねて既存壁のビニールクロスなどに貼り継いでいくだけ。まわり縁や巾木もそのまま覆ってしまえるので改めて養生をする必要がない。厚さ0.1mmの薄い和紙製なので、「柔らかくて貼りやすい」（大野社長）のが特長で、クロスの凹凸の隙間からヘラで空気を押し出せ、きれいに貼ることができる。
　最大の特徴は、海外の住宅やホテルのような「雰囲気のある塗装仕上げの部屋」に手軽に変えられることだ。ペインタブルテープの上に塗装をすると、クロスに直接塗装したときのような凹凸感が軽減し、塗装仕上げ特有の雰囲気のある部屋に変えられる。
　また基材が極薄のため、「塗料を塗ってしまえばテープの継ぎ目がほとんど分からない」（大野社長）ので、塗装仕上げの邪魔をしない。テープの継ぎ目を気にしなくていいので、貼りにくい箇所は途中でカットして貼り直すなどラフな使い方が可能だ。既存の壁に塗料がつく心配をすることなく、塗装仕上げならではの部屋の雰囲気を手軽に得られる。室内のDIY塗装へのハードルを引き下げ、需要拡大を期待させる。

ペイントで豊かな賃貸ライフを

　「ペインタブルテープ」の需要層としてタカラ塗料、カモ井加工紙ともに有望視しているのが賃貸住宅の利用層だ。「賃貸住宅でも『部屋をオシャレにしたい、カッコよくしたい』といったニーズはあるものの、原状回復のしばりで我慢している人も多い。（ペインタブルテープの）発売後の反応を見ていても、賃貸住宅への市場性を強く感じる」（大野社長）とし、そうした層へのアプローチを強めていく意向だ。
　賃貸住宅での利用を想定した場合、退去時の原状回復が簡単にできるのもポイント。「カモ井さんの方で最適な粘着性にコントロールしてもらっているので簡単に剥がせ、既存の壁紙を傷めることがないので原状回復がいたって簡単（上の写真）」と説明する。
　更に、室内の壁や天井だけでなく、「キッチンの扉や建具などツルツルした面にも有効。ペインタブルテープを貼ることで目荒らしや密着プライマーを使わずに塗装できるので、塗装による部屋のトータルコーディネートを楽しめる。原状回復を気にすることなく部屋を大胆にカスタマイズできるので、賃貸ライフを豊かにできる」と、まずは賃貸のシーンで「当たり前のように部屋を塗る」トレンドをつくり、住宅の内装に広めていきたい考えだ。
　なお、「ペインタブルテープ」の販売元は、カモ井加工紙とタカラ塗料の併売で展開。希望小売価格は30cm幅3,680円／本、10cm幅1,250円／本（いずれも長さは40m）を設定。「内装やDIYの需要創出に関心のある方はぜひ声を掛けててほしい」（大野社長）と業界企業にも呼びかける。