今年創業245年を迎えた塗料販売店の福住商店(本社・京都市、社長・松下明史氏)は、2021年秋にオリジナル塗料「WANOiRO(わのいろ)」を開発、自社サイトを通じて販売を行っている。

「古くからある塗料店として以前から日本の色彩文化を発信したいと考えていた」と話す松下社長を後押したのは、補助金の採択。念願だった測色機を導入し、オリジナル塗料色の開発へ舵を切った。「京都の会社であることのブランドイメージも生かしたかった」と日本の伝統色をブランドコンセプトに据え、計24色のインテリアペイントを揃えた。

24色に選んだのは、花や日本画、磁器、月夜など日本人が昔から親しんできた風景など。あえて鮮やかな色を抑え、落ち着いた色にまとめた。「淡乙女(うすおとめ)」「胡粉色(ごふんいろ)」「月白(げっぱく)」と詩的な雰囲気を想像させる色名も特徴的だ。

色選定においては、約1,000色に上るカラーパレットを自ら作成した後、伝統色に関するさまざまな文献を通じ、24色に絞り込んだ。一方、塗料化においてはメーカー品から原色数の多いつや消し内装用塗料を選定し、改めて24色の配合データを構築している。

主だった宣伝はしていないものの、著名ファッションブランドからサンプル依頼が寄せられる反響もあったという。更に伝統産業に従事する京都の会社とともに来年3月に開催される「JAPAN SHOP」の出展が決定。今後の展開に期待を高めている。