ブラスト機を独自開発、サービス体制強化

好川産業は、橋梁塗装向けブラスト機「リユースブラスト®」を開発、今年から市場展開を本格化する。同機は、同社が設計を施したオリジナルブラスト機で、先行して展開する剥離剤、設備機器、関連資材などとともにインフラ塗装分野におけるサービス力を高める狙いがある。あえて開発投資を要するオリジナルブランドの投入に踏み切った理由には、製品力とサービス力の両立が成長に不可欠との見方がある。


「リユースブラスト®」は、鋼構造物の素地調整や塗膜剥離を用途に、吐出した研削材を回収、分離し、再利用する環境対応型ブラスト工法。吐出圧力は最大1.5MPa(約15kg/圧)の高圧力を確保し、施工スピード向上による工期短縮に寄与する他、ブラストユニット、回収機、バキュームユニットをすべて4トントラックに積載できるコンパクト設計を特長に据えた。

この他にも吸引した使用済み研削材の方式を衝突分離方式と遠心分離方式を併用したハイブリッド方式を採用し、研削材の削減に貢献。通常のブラスト機と比べて約5割以上の使用量を削減できる。またブラストタンク、分離機、研削材ホッパーのそれぞれをユニット化することでコスト、作業効率に応じて機器構成を選択できるようにした。

特に差別化策として顕著にするのが、自ら"超高圧"と表現する高吐出力。流通しているブラスト機の多くが1.0MPa以下が占める中、あえて高吐出力にこだわった背景には、大型物件への対応がある。「リユースブラストであれば,100m先の現場でも研削材がドロップすることなく1.1、1.2(MPa)を維持することができる」と同社担当者。最大200mに対応する長距離対応を差別化に据えた。

また消費電力55kWを持つルーツブロワ(集塵機)もアピールポイントの1つ。「ある現場で100m超先の集塵を吸引するのに2カ月を要した現場があったが、当機であれば約半分に削減できる」とコメント。加えて「インバータ機能を搭載しており、現場環境や作業工程に応じて自在にパワーを調整できる」と物件の大小問わず適応性を確保した。なお、発注者サイドは、希望によってインバータ機能の有無や消費電力を選択できるという。

設備、資材の充実図る

自社ブランドである塗膜剥離剤「パントレ」を上市したのは2013年。以来、橋梁塗装で問題となっていた鉛・クロム・PCB対策に特化した機材や資材、保護具を「安全対策・環境対応機材カタログ」に取りまとめ、塗膜診断サービスを含めたワンストップサービスを武器にインフラ分野での展開を本格化してきた。

事業拡大の弾みとなったのは、2014年5月に厚労省が発表した「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」の通達。この中に「剥離等作業は必ず湿潤して行うこと」と表記されたことで剥離剤需要が拡大。同社においてもインフラ市場での存在感を一気に高める契機となった。

その後もしばらく需要は伸び続け、旺盛さを極めたが、やがて勢いが衰えていく。「剥離剤市場は年間150~200万㎡と一定数の規模はあるが、多くのブランドが参入し、販売量を伸ばすことが困難になってきた」と市場の変化を指摘する。
更にそうした最中に存在感を高めてきたのが研削材の回収・再利用を特長とする循環式と呼ばれる環境対応型ブラストの存在。「感覚ではあるが、90%以上が剥離剤で占めていた状況から今は85%に低下している」と乾式ブラストへのシフトが強まっているという。

剥離剤から乾式ブラストに移行している最大の要因は施工コストの違い。担当者は「一般的に剥離剤の平均施工単価が約8,000円/㎡/回に対し、環境対応型ブラストは1万6,000円/㎡。下地に応じて複数回塗布し、更に1種、2種ケレンが加わる剥離剤工法と比べると、ブラストのコストが低くなる傾向にある」と話す。

同社においてもIH塗膜剥離機やレーザー塗膜剥離機とともに乾式ブラストの対応を講じてきたが「高圧力と省スペースを特長としたブラスト機を自社開発することで、ユーザーの利便性により応えられると考えた」と数年前にリユースブラストの開発を決断。昨年、初号機の完成にこぎつけた。

今後は、NETIS登録も見据え実機販売を本格化していく方針。価格は仕様に応じて約1,500万円~約5,000万円程度。「大規模ユーザーであれば即座に回収できる他、規模に応じたカスタマイズも柔軟に対応する」と話す。
「かゆいところに手が届く存在でありたい」と担当者。今年は新たに防爆型送風機のレンタルを開始するなど、ラインアップの充実も進める考えだ。



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