新領域"内壁"でカラーデザイン

粉体塗装のカラーデザインを強みとした事業を展開するカドワキカラーワークス(本社:神奈川県横浜市、代表取締役・門脇正樹氏)。建築内外装向けを中心に、粉体塗装のオリジナルカラーブランド「Ki color」を展開しカラーデザインの可能性を追求する。今年からは新たに内装壁材の扱いをスタートさせ、外装だけでなく内壁も含めたカラーデザイン戦略を加速させている。


カドワキカラーワークスは、ビルや商業施設などのアルミカーテンウォールや外装パネル、キッチン周辺部材などにおいてカラーデザインに優れた粉体塗装仕上げの実績を重ねる。そんな中、近年ではより高級感を演出する粉体塗装仕上げの要望が高まっているという。

門脇社長は「最近、マンションなどの建築案件で合言葉のように聞くのが"裕福層向け"という言葉。メーカーはそうした"裕福層向け"に付加価値を付与した製品の開発に取り組んでいる」と述べ、外装材だけでなく、キッチン周辺製品など内装什器でも高意匠仕上げの要望が高まっているとの見方を示す。

意匠性に関して、要望の1つが自然素材のような塗装仕上げ。例えば木目調やブロンズ調で仕上げる物件が増えている。本来、デザイナーとしては木材やブロンズを使いたいが、加工できなかったりコストが合わなかったりしてその素材が使用できない場合に、塗装で表現する。
同社では、顧客の求める色や質感を粉体塗装で表現することを得意としており、素材のサンプルに近いカラーを提案する。

内装壁はVALPAINTで

今夏から新たな商材としてイタリア製の水性塗料ブランド「VALPAINT(バルペイント)」の扱いをスタートさせた。工業塗装とは分野の異なる新商材を取り入れることで、カラーデザイン戦略を拡充させる考えだ。

VALPAINTは建築汎用分野のインテリアペイントを販売するカラーワークス(本社:神奈川県大和市、代表取締役・森一朗氏)が販売しており、門脇社長がカラーワークスの取締役副社長の秋山千惠美氏と知り合ったことで取り扱いを始めた。
工業分野でカラーデザインを展開してきた中で、VALPAINTのデザイン性に新たな可能性を感じたという。

「これまで数多く建築物件を手掛けてきたが、当社ができるのは内外装建材をメインとした金属製品のみ。内装壁については範疇外だった。ハンドメイドによるVALPAINTのテクスチャーはこれまで注力してきた事業とマッチするので、カラーデザインの提案の幅が広がる」と狙いを説明。

門脇社長をはじめ複数の社員がVALPAINTの施工講習を受講した。色調だけでなくコテなどのオリジナルツールを巧みに使い模様を施す意匠が空間に彩りをもたらす。VALPAINTが使用される住宅分野は同社にとって新たな領域のため、需要創造にもつながる。

VALPAINTの取り扱いは今年の夏から本格的に始まったが、既に4物件での受注を決めた。すべて外装が粉体塗装で内装がVALPAINTであり内外装のセット提案による。カラーデザインの提案力を強みとする同社の展開が内装においても効果を発揮する。設計事務所やデザイナーといった発注側にとっても、外装と内装を一貫で発注できることのメリットは大きい。デザイン性の共有や現場の段取りなどをスムーズに進めることができる。

門脇社長は「日本の内装はクロスの文化だが、クロスと違って塗装は、色彩はもちろんのこと肌や質感が優れている。マーケットの規模は小さいかもしれないが、高級感を求める層は確実にあり更に広がってくると感じる。クロス貼り替えによる廃棄物問題もないので環境意識の高まりにも合う」として従来の金属・外装分野に加えて内装分野にも注力していく方針だ。

「Ki color」リニューアル

現在、Ki color見本帳の新版を作成中だ。今の見本帳は2020~2030年版であり、年内には新版が完成する見込み。建築分野での提案の際には重要なツールとなっており、この3年間で増えた新たな仕上げを加えていく。
この色見本帳は、カドワキグループが長年の塗装事業で養ってきたノウハウをベースに、粉体塗料の特性を生かして編み出した。見本帳には独自技法により意匠性を高めた、オリジナルの表層表現シリーズを収録している。
設計事務所やデザイナーと粉体塗装のデザインを決める際に提案のベースとなるもので、そこから更にイメージを具現化していく。複数コートで仕上げるデザインもあり、"物件モノ"として現状では建築内外装材分野で活用している。最近では高級マンションの宅配ボックスなど、工業製品においても高級志向が高まっているため、幅広い分野でKi colorを提案したい考え。



内装塗料VALPAINT。独特の色彩と模様で空間を演出する。.jpg
内装塗料VALPAINT。独特の色彩と模様で空間を演出する。.jpg

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