「スマホで検索すればその場で分かるようなことさえ問い合わせがある」と塗料メーカーの担当者。ユーザーから聞かれたことをそのままメーカーに流し、挙句、その回答を直接ユーザーに電話してほしいとまで頼まれる。「自分たちの役割は何なのでしょう」と頻繁な電話に顔をしかめる▲塗料販売店の営業現場の士気の低下が気に掛かる。ちょっとしたことでもすぐにメーカーに問い合わせ、現場への呼び出しも日常茶飯。「全く防波堤になっていない」といった話を、最近何度か重ねて聞いた。甘える方が悪いのか、甘やかしてきた方が悪いのか、負の業界体質はより深化しているようだ▲先日、あるセミナーで営業マンの自信や誇りを育てる方法についての話を聞いた。内容はシンプルで、自分たちの商材が相手にもたらすベネフィット(便益)を考え尽くすことだという。より多く、より真剣に考えるほど腹落ちするストーリーが紡がれ、それが自信や誇り、モチベーションの核になるのだと。なるほど、塗料販売店の取材でそのような話は聞き出せたことがない▲話は飛ぶが、TOTOが現場施工の光触媒塗料事業から撤退した一因も、煩雑で手間が掛かる業界の慣習に馴染めなかったからと聞いたことがある。負の業界体質が参入障壁になっているようでは、やっぱり淋しい(K)