塗料塗装普及委員会(日塗工、日塗商、日塗装)は2月5日、建築塗料・塗装セミナーを東京塗料会館とウェブ配信のハイブリッドで開催した。プログラムの前半は「建築塗料のトピックス」、後半は「塗装業界における技能の伝承と担い手確保の取り組み」をテーマとし、それぞれ2部構成で実施した。
前半の第1部は日塗工建築塗料部会委員の津村昌伸氏が「建築塗料市場の最新動向」と題して講演を行った。
建築用塗料の出荷数量・金額の推移について「塗料全体の出荷はコロナ禍以降低調に推移している一方、金額は2024年度に鈍化したものの上昇傾向にある。建築用塗料もほぼ同様の流れだが、2024年度の出荷金額は若干低下となった」とまとめた。
2024年度の需要産業別出荷数量構成比では、建築用塗料(現地塗装用)が全体の24.4%で最も多かった。また建築用塗料の品種構成比では、エマルションペイント(薄膜型)が34.3%、厚膜型エマルションが30.5%と水系塗料の合計が約65%に上ることから「VOC対策が進んでいる」と指摘した。
建築用塗料の品種構成比(出荷量)推移に関しては「アルキド樹脂系や合成樹脂調合ペイントのような以前からある塗料は減少傾向にあり、エポキシ、シリコン、ふっ素樹脂系は上昇傾向にある。上位グレード品への移行が進んでいると思われる」と解説した。
前半第2部は「建築塗料・塗装における不具合事例と対策」をテーマに日塗工建築塗料部会委員の原田賢治氏が講演。時代の変化に伴って生じた新しい不具合事例などを取り上げた。
近年、建物の外壁において、既存塗膜が高耐侯性塗料を使用している場合、改修に汎用下塗材を用いると付着性が得られず既存塗膜と改修塗膜の界面で剥離してしまうケースがあるという。
「無機系、光触媒系、フッ素系の高耐候性塗料に対しては適切な下塗材でなければ付着力が得られない。改修の現場で既存塗膜の種類を的確に判別することが重要」と原田氏。具体的には、まず設計図書から既存塗膜を特定する。特定できない場合は日射が強い南面と弱い北面で劣化具合を比較する、塗膜が水を弾くか試すといった高耐候性塗料の特徴の有無の確認が必要となる。「最終的には試験施工などでの仕様の明確化が必須」と強調した。
その他、「水系塗料適用範囲拡大に伴う不具合も増えている」と指摘。低温による造膜不良や人の皮脂が多く触れる箇所での塗膜の軟化、2液調合型塗料におけるポットライフ(可使時間)の超過などがトラブルにつながる可能性があるとして注意を促した。
塗装の技能伝承と人材確保
後半の第1部は、日塗装技能副委員長の齊藤佳昭氏が「第28回全国建築塗装技能競技大会で得られた塗装の魅力や可能性について」を講演。
同大会では全国から集まった38名の選手が、A課題「つや有合成樹脂エマルションペイント刷毛塗り仕上げ」、B課題「可とう形改修塗材E仕上げ」、C課題「内装用水性特殊多彩意匠仕上材仕上げ」、D課題「自由仕上げ(自由課題)」、調色(指定4色)の5テーマで日頃の研鑽の成果を競い合った。
齊藤氏は「A課題は繊細な刷毛の使い方に加え、2回塗りなので乾燥を考慮した時間配分も重要。B・C課題は円形の日塗装マークの周囲をどう処理するかに技術を要する」など、各課題の審査ポイントを概説した。
次回大会は2027年に山形県で開催予定。課題の1つを「競技課題のブラッシュアップ」とし、例えばC課題について工法を含めて検討を行うとのこと。
第2部は「技能実習・特定技能による外国人材の受け入れ(その2)~インドネシア、ベトナムでの職種説明会や自社のミャンマー人の育成状況を踏まえて~」と題し日塗装副会長の若宮昇平氏が講演した。
日塗装では外国人材受入支援の取り組みとして、昨年10月にインドネシアで特定技能職種説明会を開催。日本での就労に関心を持つ若者30名を対象に、特定技能制度の説明や塗装模擬実演などを実施した。若宮氏は参加者のアンケート結果から「海外で働く場合に重視することは『安心できる住環境や人間関係』が最多となった。必ずしもお金のために日本で働きたいわけではないと分かった」と強調した。
若宮氏は、自身が代表を務める若宮塗装工業所(石川県金沢市)にて、2023年12月から現在まで8名のミャンマーからの技能実習生を採用している。また、今年4月頃にはインドネシアからも1名を受け入れる計画だ。
技能実習生の日本語能力試験の費用は会社が負担しており、不合格であっても再チャレンジの意欲があれば支援を続ける方針とのこと。また、今年1月の大雪の日に除雪作業を行って住民に感謝されるなど、地域に好意的に受け入れられている状況を報告。
「今後も若い外国人材の受け入れに力を入れていきたい」と締めくくった。
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