塗装工程の省エネ、CO2削減を牽引 「WETCOMⅡ」本格展開

塗装ブース・塗装設備メーカーのアンデックスは、中部電力ミライズと共同で蒸気レスのウエットエアー式空調機「WETCOMⅡ(ウエットコムツー)」を開発した。昨年9月には製造工場で初めて東海理化・音羽工場に納入し本格稼働を開始。生産工場における塗装工程の省エネ、環境負荷低減システムとして普及が期待される。

 


アンデックスと中部電力ミライズは2013年頃から大手重工業に対する協業関係を通じ、多くのエネルギーを消費する塗装ブース空調に着目。東洋熱工業の技術協力を受ける形で共同開発をスタートし、2024年8月「WETCOMⅡ」を完成させた。大幅な価格削減、メンテナンス性の向上を図り、以降市場展開を積極化している。

「WETCOMⅡ」の最大の特長は、塗装ブースの温湿度の制御を高効率、高精度で可能にした点。一般的に塗装ブース空調は、ガスボイラ及び電気ボイラを熱源とした蒸気式加湿の他、気流中に微細ミストを噴射させる水噴霧式加湿、水分を浸透させた加湿モジュールに気流を通過させる気化式加湿がある。しかし、蒸気式は導入コストが安価である反面、エネルギー効率が低く、環境負荷が高いのが欠点。水噴霧式、気化式においては冬場の低温、低湿環境では蒸気式と比べて加湿性能が劣るといった課題がある。

これに対し「WETCOMⅡ」は、ヒートポンプを熱源に空気を冷温水に直接接触させることで温湿度の制御が可能。季節や急な気象変化に影響を受けることなく、恒温恒湿環境を保持する。

空調ユニットの構成は、散水セクション、再熱コイル、ファンから成り、散水セクションで外気を直接冷温水と接触させることで露点に集約させ、その後に再熱コイル、ファンを経て給気するメカニズム。いかなる外気条件であっても高精度に規定の露点に達し、安定した温湿度環境を保持する。また他のヒートポンプタイプの水噴霧式及び気化式と異なり、ヒートポンプからの温水温度を緩和して運転できるため、「COP(エネルギー消費効率)も倍ほど違う」(中部電力ミライズ)と優位性をアピールする。

ランニングコスト(同社調査)は蒸気式と比べ65%減、CO2排出量は64%減。本稼働を始めた東海理化においては、ランニングコストで65%減、CO2排出量は73%の削減効果を見込む。なお、散水セクション1台で風量580m3/minまで対応。モジュールの連結により大風量にも対応する。

電力会社との協業も注目

中部電力ミライズは、中部電力を親会社とする2020年4月に設立した販売事業会社。電力・ガスの小売全面自由化を背景に電力・ガスの販売の他、省エネ、創エネ、グリーン化などの環境ビジネスに注力。塗装工程の省エネ、環境負荷低減ビジネスにも乗り出した。

同社の優位性は、各種製造業との豊富なネットワーク。「製造業比率が高い中部圏で2000年から生産プロセスの省エネ、機器開発を積極的に取り組んできた。お客様にワンストップで提供できるサービスが強み」(中部電力ミライズ)と塗装システムとのシナジーの高さを強調する。アンデックスの吉田伸社長も「製造業が直面する生産設備の省エネルギー化や脱炭素化といった課題に、中部電力ミライズさんの提案は非常に説得力があり、提案の精度と拡がりはこれまでにないレベル」と協業に期待を寄せる。

実際、エネルギーのコスト削減効果を細緻に可視化する独自シミュレーション技術は、導入検討に悩む顧客をバックアップ。「効果試算から導入を即断する顧客もいる」(中部電力ミライズ)と脱炭素化の試算も含めたサービスが評価を高めている。

今年は2月18日から開催される「第1回塗料・塗装設備展 名古屋」の出展を皮切りに自動車部品メーカーや航空機メーカーの塗装工程に導入提案を進める方針。また半導体分野への展開も視野に入れ、クリーンルーム対応の製品開発を進めるとしている。



WETCOMⅡ外観(東海理化・音羽工場)
WETCOMⅡ外観(東海理化・音羽工場)
WETCOMⅡの経済性・環境性効果
WETCOMⅡの経済性・環境性効果

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