どこへ行ったんだろう、「100年住宅」の話題をさっぱり聞かなくなった。30年に満たずにスクラップ&ビルドされる日本の住宅の有り様を変えようと始まった長期優良住宅。制度開始(平成21年)後の新設住宅の着工戸数に対して、その普及率は1割程度に止まっているという。鳴り物入りでスタートした割には、ショボイ感じは否めない▲考えてみると分からなくもない。100年住宅という割には、毎日暮らす居住空間はこれまで通りのチープなビニールクロスの壁。とても100年住み継げそうにないこの佇まいとのアンマッチな取り合わせに直感的な胡散臭さを感じるのではないか、と勝手な見立てをしている▲通常より高額な100年住宅でもなお、建てる側の都合で安直なビニールクロスを押しつけられている。真に100年住み継がれている欧米の住宅のスタンダードがペイントであることを考えると、どちらに分があるかは明瞭だ。張り継げないビニールクロスに対して、塗り継ぐことができるペイント。そしてそれが、経年の味わいや歴史という代えがたい価値に変わるのだから▲先週、製販装の各業界団体と塗料業界紙記者とで内装塗料の普及に関して話し合う機会があり、改めてそのことについて考えてみた。建てる側の都合を越える業界パワーを結集しなければ(K)