業界人は意識過剰かもしれない。若い人が塗装業に就かないという思い込みのことである。彼ら彼女らはこちらが意識しているほど塗装業への"フィルター"はなさそうだ▲この春、地方の建築塗装会社に新卒で入社した女性社員2人に、先日話を聞いた。1人は短大から営業職として、もう1人は地元の高校を卒業し職人として塗装会社の門をくぐった。社員10名ほどの地場のペンキ屋さんである。女性で新卒というのは同社にとっても初めてのことで、会社にどのようなインパクトをもたらすのか、経営者もワクワクしている▲彼女たちに共通していたのは、自社の将来を熱く語る経営者の思いや、内定後の顔合わせ会で実感した会社の雰囲気に惹かれたこと。入社後は先輩の仕事ぶりに惹かれ「私も早くカッコいい職人になりたい」と現場で汗を流す日が続いている。世間の五月病などどこ吹く風だ▲もう1つ共通点があった。「塗装業」に対して何の先入観もなかったことだ。「塗装業にネガティブな印象を持つのは彼女たちの親の世代までじゃないでしょうか。今の若い人たちはそもそも塗装業のことを知らないし、そういった意味ではとてもニュートラル」と経営者▲若手の入職難は、若い人たちを魅了できない自社の問題を業界の問題にすり替えているだけかも。要再考(K)