物品を販売する小売店は近い将来、店舗に入ること自体を有料化しなければ成り立たないのではないかと感じる。インターネットを使えば簡単に必要なモノや流行りの商品を取り寄せることが可能になった今、この店でなくてはならないという理由がどんどん希薄になっている。立地や地域性が生きるのは、飲食店やスーパー・コンビニ、クリーニング店といったところか。地域インフラとして生活者の必要に応えてきた店舗の在り方が大きく揺らいでいる▲ネットショッピングは何にも代えがたい便利さを発揮しているが、実際にモノを見たり触ったりできる店の存在がネットショッピングの機能を補完している面は否めない。店側も独自商品の販売やイベントの開催など、店でしか得られないサービスに努めるが、店の最大の価値はモノやサービスが目の前にあること。そう考えるとモノを見るだけで店を後にする"ショールーミング"が店の価値を奪っていることを知る。有料化だけが方策ではないと思うが、実際にモノを見たり使ったりできる体験を価値にする動きが高まっていくことが予想される▲先日、近所に唯一あった書店が閉店を告げる貼り紙を出していた。飲食店が並ぶ商店街に落ち着きを与えていた良い書店だった。失ってから足が遠のいていたことに気づかされた(R)