飛び散った塗料が床や建具に付かないようにガッチリと養生をし、2回塗り以上で仕上げることが当然と思っていた室内の天井や壁の塗り替え作業。塗料の内装需要を生み出すためには、この常識を疑う必要もありそう▲先日、賃貸住宅の原状回復の現場を取材させてもらった。退去者が出たときに行われる室内の原状回復工事。クロスの張り替えが圧倒的に幅をきかせている天井と壁の原状回復を、次々と塗装に置き換えている人がいる。北九州市の塗装会社「アーキ・メイク」の宮本伸宏さんだ▲クロスの市場を奪取している理由は圧倒的な価格差。平米当たりの材工単価800円が相場のクロスの張り替えに対して、その半額の400円で提供できる塗装サービスを確立した。価格のインパクトに加え、カラーリングやマットでクリーンなテイストなど塗装ならではの魅力で次の入居者も早く決まり、物件オーナーや管理会社には良いことづくめ。施工依頼が引きも切らない▲「住宅の内装で塗装を広めたい」。その思いを胸にトライアルを続け、「養生はほぼ無しで、ローラーだけによる1回塗り仕上げ」という究極の塗装工法を確立した。単価400円でありながら、4割の粗利を確保できるところにもミソがある▲業界の常識を覆す宮本さんの塗装。(K)