関西から参加して頂いた方が思わず口にした「豊かでんなぁ」という言葉。その街並みの中に身を置いた感想として、これほど的確な言葉はない。「きれい」でも「可愛い」でもなく「豊か」といった表現がピッタリの街並み。本紙が先日催行した「ドイツ・塗料ビジネス視察ツアー」の1シーンである▲通りに敷き詰められた石畳。その両側に立ち並ぶ風格ある建物群。街角の先にふいに現れるゴシック建築の巨大な教会。歴史や伝統、文化、景観への市民の思い入れが伝わるヨーロッパの街並みと、その中で普通に暮らしが営まれている光景に「豊かさ」を感じたのは、ツアーに参加した方々の共通の感想でもある▲もちろん、その豊かな光景にペイントが一役買っているのは言うまでもない。レモン、ライラック、ブルー、グリーン、バーミリオンなど色とりどりに塗り分けられた連棟式の建物のファサード(正面)がヨーロッパらしい街並みを形成。色相はバラバラなのに騒々しさはまったくなく、むしろ落ち着きと気品をもたらし街の景観を一層引き立てている。長年ペイントに慣れ親しんできた人たちの「色使いの上手さ」を感じずにはいられない▲人が「豊かさ」を感じる街並みだからこそ、それを維持しようとする気持ちが働く。ペイントでなければならない理由がそこにもある(K)