「脇役」のことを英語でバイプレイヤーと言う。名脇役だけで演じた「バイプレイヤーズ」というテレビドラマがヒットしたように、近年は主役よりも脇役の方にスポットが当たりがち。容姿以上に、演技力という本質に視聴者の目が向いているからかもしれない▲それと同じようなことが業界でも起こっている。住宅の塗装工事で、主役の塗料よりも脇役の副資材に脚光が当たっている現象だ。オート化学工業の建築用シーリング材「オートンイクシード」が住宅塗装分野でブレイク、生産が追いつかないほどの売れ行きが続いている。シーリング材という消費者(施主)に縁遠い商材でありながら、敢えて消費者向けにプロモーションしたことが奏功した▲シーリング材の本質である「水密」の重要性と、これまでの常識を超える30年耐久という安心のメッセージをYouTubeやSNS、消費者向けに製作したガイドブックなどをフル活用して伝えた。狙い通り、脇役なのに大切な役割を担っているという物語性が施主に響き、塗装業者の受注を後押し。住宅塗装の定番品の地位を獲得した▲残念ながら主役の塗料は、同質競争で似たような顔ぶれ(性能・機能)ばかりになってしまい、すぐに決定力を失う。脇役が脚光を浴びるのは、主役の存在感が薄れていることの裏返しでもある。ご用心(K)