国内塗料需要の減少を受け、塗料・塗装の産業価値が改めて問われている。塗料の3大価値として訴求する「美観・保護・機能」も素材技術の革新に伴い代替を許容してきた経緯があり、決して盤石の価値ではない。環境、安全、労働環境、BCPと企業に求められる社会ニーズが高度化する中、塗料・塗装の社会的価値を業界人自らが共有し、発信することが求められている▲翻れば、塗料・塗装産業は、参入障壁の低さと簡便さに起因する塗装ユーザーの多さと用途の広さを成長の原動力としてきた。企業が成長領域に据えるグローバル展開も極論すると、人口が増える国で塗料需要が伸びるというシンプルな構造に寄り添っている。言い換えれば、それだけ塗料・塗装は人の生活に深く密着していることが言える▲そう考えると、これまで業界は塗料・塗装の価値認識を需要家側に委ねすぎたのかもしれない。人口の減少が成長の原動力を失うことになるならば、残された道は塗装ユーザーの拡大しかない。それは単に外国人労働者で補うという発想ではなく、塗料・塗装の魅力を打ち出すことで誘因する施策が求められる。塗装の門戸を広げる視点を通じ、需要家の業容拡大や需要の活性化に寄与する取り組みに期待したい。競争意識では太刀打ちできない時代がそこまで来ている(R)