これもコロナ疲れのひとつだろうか。「最近、仕事をしている実感が湧かない」と顔をしかめる塗料メーカーの営業マン。お客に直接会えない非対面の営業が常態化し、以前のようなテンションを保ちづらくなっているという▲これまで気軽に立ち寄れていた得意先にも「会社の方針でアポを取ってから」でないと向かえない。電話を掛けても先方から「何の用?」と聞かれ、気後れすることもしばしば。客先を訪問して対面で営業する「当たり前」から遠のいて久しいが、なかなかペースがつかめない▲人と会って話をすることが営業職の基本と叩き込まれ、実践してきた。客先で話が盛り上がり獲得できた新規案件、提案営業が導いた高額受注など対面営業ゆえの成果は仕事の実感そのもの、会社への分かりやすい貢献でもあった。その機会が減り、営業マンとしての手応えの乏しさにジレンマが募る▲とはいえ、「電話やリモートなど非対面の営業をいかに対面営業の質に近づけていくか、喫緊の課題」と"新しい営業様式"を探り始めてもいる。「古い体質の業界だからこれくらいのインパクトがないと変われない。ある意味で楽しみ」とポジティブな声も聞こえるようになってきた▲振り返って、リモートによる非対面の取材に未だ慣れない自分。ヤバい、置いていかれる(K)